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もはや抱えきれずに解放しかかっていた欲望をバ……正直に比良本人から暴露され、キャパオーバーに陥った柚木は泡を食って挙動不審になっている。
眞栖人はデスクのそばで黙って聞いていた。
「もしも俺がラットになったら。優しい柚木はきっとそばにいてくれると思った」
「でもっ……ドア開けるなって、今すぐ帰るようにって、比良くん、おれに言った……」
さらに深くかぶった布団の隙間から恐る恐るこちらを見つめてくる柚木の姿にも、正直、腹の奥底が疼いてならない比良は「あれは建前だ」と明かす。
「たとえ拒まれたとしても。君なら何とかしようと寄り添ってくれるに違いないって、確信があった。その優しさに付け込もうとしたんだ」
底なき愛情に捕捉されているオメガは何も言えずじまい、だ。
「俺はラットにはならない。極度に興奮して前後不覚になって手当たり次第に見境なくオメガを襲ったりはしない」
「お、おれ、そこまで言ってないよ?」
「この気持ちはアルファの本能に支配されて暴走しているわけじゃない」
「……」
「誰でもいいわけじゃない」
眞栖人によって点けられた廊下の明かりがドアの隙間から差し込む無灯の部屋。
柚木に傾ける想いの丈を比良は告白する。
「柚木にだけ抱く俺の欲望だ」
ーーそう、もしも。
ーー番じゃなかったとしても。
「俺は柚木に恋をするよ」
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