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7-2
自分のすべてを見てほしくなるアルファからの誘惑。
そそのかされた柚木は、ぎこちなく、ゆっくり、自ら足を開いていく。
(……眞栖人くんに催眠術かけられてるみたい……)
俯いた彼がシャツの第二ボタンまで無造作に外すと、何気ない仕草に体の奥底がきゅっと締めつけられた。
その手が両方の膝頭を覆い、さらに左右に足を押し開かれると「んっ」と思わず声を洩らした。
「……」
無言で秘部に注ぎ込まれる視線に否応なしに背筋が粟立つ。
(見られてるだけなのに)
変なかんじ……。
体中、ゾクゾクする……。
「あ」
不意に顔を上げた眞栖人と再び視線がかち合い、それだけで柚木は……感じた。
秘部を隠そうかどうしようか迷っていた手がシーツを手繰り寄せる。
急変した空気。
学校や放課後、燦然と華やいでいたレストラン、どのシーンでも接したことがない別格のアルファの雄めく力強い眼差しにオメガは引き込まれていく。
「ん……っ」
自分と見つめ合いながら純潔なるペニスに触れてきた眞栖人に小さく呻吟した。
「眞栖人くん……」
「小さくて可愛い」
「っ……双子で同じこと言うなぁ……」
見られただけで芯を持ち始めていた熱源。
眞栖人はちゃんと勃たせるように愛撫を施した。
「俺の手に馴染む、お前の」
絡みついてきた長い五指。
スローテンポで上下に繰り返し擦り立てられる。
規則的な愛撫に天辺がヤラシク濡れ始めると、先走りの雫を纏った掌でさらに念入りにしごかれた。
「かたくなってきたな」
満遍なく潤んでいく奥二重まなこに見惚れながら眞栖人は利き手を動かしていた。
「んっ……んっ……んっ……」
「お前、どっちが濡れやすいんだ……?」
「っ……」
自身の雫でぬるぬるしてきた掌とペニスがふんだんに擦れ合い、ゾクゾク感が下肢に集中して、とんでもなくムズムズして、柚木は顔を伏せようとした。
「……ふぇ……」
しかし眞栖人のもう片方の手に顎を掬われ、上向かされて、視線の共有をキープさせられた。
「駄目だ、こっち見てろ」
「っ、ぁ……」
上を向いたところで顔を固定されて。
太く頑丈な親指で下唇をなぞられた。
「ん、ン……っ……よ……よだれ、ついちゃ……」
「いい、別に」
大きな掌が多感な先っぽを包み込む。
じっくり搾り上げるように揉みしだかれて柚木の細腰は独りでに跳ねた。
「ん……っ、っ……っ……ぅ……ン」
口内に親指の先が入ってくると、びっくりしたものの、やや加速がついた熱源への愛撫に判断力が低下して、ついつい吸いついた。
「おしゃぶりなんて幼稚園児以下だな」
眞栖人は心底愉しげに笑う。
あどけなく吸いついてきた柚木に愛しさが込み上げ、ギリギリまで顔に顔を寄せ、利き手の速度を徐々に上げていく。
絶頂の間際に濡れそぼつ奥二重まなこを視界に刻みつけた。
「んん、ん……っ……っ……!!」
親指を虐げた、いたいけな甘噛みに我が身の隅から隅まで滾らせた……。
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