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ただ重なっただけの微熱同士。 柚木と同じく眞栖人も目を瞑る。 夜通し渇望したこともあったオメガの唇に心も体も傾けた。 「……よいしょっと……」 照れ隠しにもごもご呟いて柚木が顔を離せば、数秒間の短さでどこか眩しそうに目を開け、すぐそばにある奥二重まなこに告げた。 「俺まで蝶々になりそうだった」 「眞栖人くんも、ふわふわ、した……?」 「ああ」 夜気にしんなりした前髪のかかる黒曜石の瞳で眞栖人は強請る。 「もっと」 (あ、また、かぢられた) 心臓(ハート)を一口ずつ齧られて麻痺した羞恥心。 柚木は頼り甲斐のある肩に両腕を回し、さらに身を寄せ、眞栖人に口づけた。 自然と開かれた互いの唇。 二人の舌先がゆっくりと結びつく。 「……ふ……」 吐息を溢れさせて、もう、夢中になる。 髪を撫で、梳いて、甘やかし合う。 時に薄目がちに視線も繋げて想いを花開かせていく。 「ん……ン……」 抱きしめられ、胸と胸が濃密に触れ合い、それまで休息していたペニスで柚木は蜜穴奥を貫かれた。 「っ……ぁ……眞栖人くん……っ……ん、む……っ」 ほんの束の間の息継ぎを挟み、違う角度から深々とキスされて口内を温められる。 柚木も眞栖人をぎゅっと抱きしめた。 隔たりなく密着して生まれる熱が心地よく、いつまでも浸っていたくて、別格のアルファにその身を委ねきった。 「柚木……好きだ……」 眞栖人はキスの合間に吐息まじりに想いの丈を注ぎ込んだ。 呑み干しきれずに、あっぷあっぷしそうになっているオメガを抱き直し、自らも揺らめいて交わりを深める。 「お前に支配されて幸せだ」 柚木は、やっぱり我慢できなくなった。 雄々しさの匂い立つ首筋に顔を埋め、所有の痕を刻むように唇で縋った。 「ガチで仔犬だな……なぁ、もっと深く……」 「んんッ……だから……好きで噛んでなぃ……」 (あったかい、きもちいい、もっとほしい) ……蝶々の次はガチの仔犬になった気分だ。 ……ぜーんぶ根こそぎ忘れて甘えたくなる。 「おれも……好き……好きだよ、眞栖人くん……」 柚木は眞栖人に頬擦りした。 怒涛の愛欲に漲るアルファに力一杯しがみついた。 「お前が溺れたら死ぬ気で助けて俺も生き残る」 まだ<もしもの話>を引き摺っている眞栖人に柚木は思わず笑って、誓いのキスを。

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