331 / 333
1-2
ダブルベッドが遠慮がちに軋む。
「あっ……あんっ……比良きゅっ……ぁっ……」
制服のシャツと靴下しか身に着けていない柚木は、いつにもまして切なそうに喘ぐ。
オメガの蜜孔を訪れたアルファの熱源。
止め処ない愛液の滑りも手伝って奥まで。
キュンキュンときつく締まるナカを優しく、じっくり、深く突いていた。
「あんっ……!」
頬を上気させた柚木は仰け反った。
「きもちぃぃ……比良きゅん……おれぇ……チョコみたいになっひゃぅ……」
仰向けになった柚木の両足を左右に開かせ、膝を掴んで固定し、比良は緩やかに律動していた。
セーターを脱ぎ、後は乱した程度の姿で、最愛なるオメガとの放課後の逢瀬を堪能していた。
「柚木、チョコレートみたいに溶けちゃうのか……?」
柚木はコクコク頷いた。
屹立したペニスの頂きで最奥を緩々と小突かれると、また胸を大きく反らして悶えた。
「やんっ」
ボタンが全開にされたシャツの狭間に覗く、うっすら色づく突起を吸われて甘い悲鳴を零す。
「ぁっぁっ……ちくびぃ……ジンジンしひゃ……」
「ん……」
「あんっっ……ゃぁぁ……っ……そんなぺろぺろされたら……っ」
ジンジンと疼く突起を交互に丹念に舐め吸われた。
柚木はさらに弓なりに背中を反らす。
蜜孔で逞しく息づく比良のペニスを痛感しながら本日何度目かの絶頂に至った。
「んーーーー……っっっ……!」
小振りの熱源までピクピクと悶えさせ、全身を包み込んだ快感の虜になる。
別格アルファに注がれる底なしの愛情に溺れそうになる……。
「んっ?」
溺れかけていた柚木はどきっとする。
片足を持ち上げられた松葉くずし。
未経験の体位で、絶妙な角度で奥をグリグリされて、暴力的ですらある快感に背筋を戦慄かせた。
「ひっ……待っ、待って、比良く……っ……あんっ、だめっ……これ、変……だめなとこきてる……っ」
華奢な足を片方抱いた比良は、酔いが覚めつつある柚木をじっと見つめてきた。
「俺が来たら駄目なところなんてないだろ……?」
前髪のかかる、危うげに濡れた黒曜石の瞳に、奥二重まなこは根こそぎ視線を奪われる。
「ッ、あっっ……ちょ、それは、ほんと……っ、っ、っ……~~~……!!」
ゆっくりながらもしっかり最奥を貫かれ、同時に器用な指先でクリトリスをたっぷり刺激されて、柚木はまた速やかに達する羽目に。
「――ほら、柚木、おかわりあげる」
四つ目のチョコレートを口の中に押し込まれて反射的に食べてしまった柚木は。
「ふゃぁ……やばぃぃ……比良きゅんの、おちんちん……奥、来すぎぃぃ……」
たちまち奥二重まなこをとろんとさせ、熱烈な律動に忠実に甘い悲鳴を連ね、比良の腕の中で絶頂を繰り返した。
「……可愛いな、可愛い、柚木……」
チョコレートを口にしていないはずなのに、比良は危うげに蕩けた声で何度も柚木の名前を呼んだ。
「俺のこと、世界で一番、ううん、宇宙で一番好き……?」
「しゅきっ……比良きゅん、しゅき……だいしゅき……」
「柚木、堪らない、もっともっと……ほしくなる」
「残りのチョコはどうしようか」
「うう……せっかく比良くんにもらったものだし、食べたい……けど、うーん」
「俺とはんぶんこ、しようか」
「……それ、比良くんも酔っ払っちゃうんでない?」
「俺は平気だよ」
「……それならいい、けど、ハイ」
ぼさぼさになった髪を梳かれ、整えられて、甲斐甲斐しい比良のご奉仕にぼんやりしていた柚木であったが。
「……え、はんぶんこって、一個ずつ?」
比良が半分かじったチョコを差し出してきて目を見張らせた。
「こっちの方が、はんぶんこ感がより増して、柚木と分け合ってるのが実感できる」
何の迷いもない清々しい笑顔にうっとりして流されかけた柚木だが。
「洋酒漬けのドライフルーツ、今度食べてみようか」
「えっ? もうお酒効いたやつはちょっと」
「ブランデーケーキはどうだろう」
「だからお酒系は」
「レーズンのバターサンドもよさそうだ」
(だから食べないって言ってんのに~~~!!)
そもそも、さ。
比良くん、チョコが洋酒入りだってこと、知っていたのでは……?
「いつか柚木とお酒を飲みに行くのが楽しみだな」
大人びた味がするチョコレートを比良とはんぶんこして、その底なしの愛情に酔っ払いそうになるへっぽこオメガなのであった。
ともだちにシェアしよう!