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Chapter 13―3

(R-18) ―――これが最後の逢瀬。 そうヒカルに言われ、武智の愛撫は丁寧で緩やかに、動きは殊更ゆっくりとしたものになった。最後を引き延ばしたいと思うのも仕方がない。 「ぅあ、っ―――んん、」 半分女の格好のままのヒカルを組み敷き、武智は動きを止めて見下ろした。ヒカルが不満そうに首を振り、セミロングのヴィッグが乱れる。不意に、ヒカルを抱いているのに、違う人間と繋がっている気分になった。 下半身は何も身に付けておらずヒカルの雄は丸見えで、上半身は未だ女のまま。非常に倒錯的な光景だ。 ―――社長に見せてやりたい。 自分の愛人が他の男に喘がされている姿に、勝基はどんな顔をするのだろうか。 出来もしない事を考え、武智は苦く笑った。 「ちょっと、なに?やめるの?」 動かない武智を、ヒカルが不機嫌そうに睨み付けてくる。尖った美しい瞳に、ぞくりとなった。 「まさか、止めませんよ。ね、ヒカルさん、カツラ外しません?」 「ああ、なんだ。気になるなら外す。」 繋がったままの体勢で、ヒカルが手早くピンを外し、ヴィッグを床に放る。 「ヒカルさん、もしかして女装するのに慣れてません?」 「女装には慣れてない。けど、変装には慣れてる。ほら、動け。ムダ話してたら、萎えるだろ。」 ヒカルが焦れて自ら腰を揺らす。ぐねりと動く筋肉の動きが艶かしい。 武智は噛み付きたい衝動を堪えて、ヒカルの滑らかな片足を持ち上げた。 「朝まで萎えませんので、ご心配なく。」 「いやいや、何回す―――、ぁあっ、ばか、いきなりっ、」 武智の雄を乱暴に突き入れると、ヒカルが溺れるように啼く。 「ぅあっ!ぁあ―――、むらかみっ、さ、」 本当の名前を呼んでもえる事はないのだ―――と、今さら気づく。当たり前だ。 『村上武智』はこの世に存在しないのだから。 「ぅ、はっ、」 指の間から滑り落ちていく大きさに、武智は身震いした。 ―――こんな、 会えなくなるのが辛い。 言葉を交わせないのも辛い。 あなたに触れられないのが辛くて堪らない―――と、そんな本心を吐露すれば、ヒカルからはきっと腹を抱えて笑うに違いない。 知っている。 分かっている。 本名さえ明かせないのに、好きだなんて。 ―――こんな恋はしたくなかった。

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