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Chapter 15―1

気を失っていた。 小さな石が頬に突き刺さって地味に痛い。 体を起こそうとしたが、両手が後ろで拘束されていて叶わなかった。皮膚が縄か何かで擦れる感覚がする。 今、武智がうつ伏せて転がっている場所は、どうやら工場か倉庫のようだった。 「いっ―――」 無理に身を捩った拍子に、ズキッと後頭部から痛みが走った。 ―――殴られたのか。 そうだ。 ヒカルを探しに来て―――。 気を失う前の事を思い出し、武智はさらに顔をしかめた。助けに来たはずが、逆に捕まったらしい。 「おい、起きたか。」 一人だと思い込んでいた所に、他者の声が降ってきて、武智は今度こそ跳ね起きた。グワンと頭が揺れる。気持ちが悪い。 膝を付いて見上げると、見覚えのない男が立っていた。2メートル近くもありそうでガッチリとした体躯。暴力による抵抗は難しいだろう。 「ここに何しに来た?」 男はしゃがみこみ、武智と目線の高さを合わせて覗きいてくる。 「あんたが『キハラホーム』の人間だって事はバレてるぜ。あの社長から頼まれて来たんだろ?」 「あなたは、遼基さんから?」 「質問に質問で返すな。イラッとする。」 モノでも見るような冷めた目に晒され、武智はゾッとした。この男の機嫌を損ねてはならないと悟る。怒らせたらダメな人種だ。 「信じてもらえないかと思いますが、社長に頼まれてはいません。人を探していて、ここへ来ました。」 「人?」 何故か機嫌が直ったらしく、男の目から冷たさが消える。一瞬迷ったが、ヒカルの事を直球で聞いてみる事にした。 「椿山ヒカルさん、ご存知でしょう。」 「ああ。社長の愛人だろ?うちの中で知らない奴はいないだろ。」 「行方を探しています。」 「ここにはいない。そして、オレは知らない。残念だったな。」 男が嘘をついているようには見えなかった。 という事は、ヒカルが居もしないのにやって来て、あっさり捕まった間抜けな男なワケだ。 ―――最悪だ。

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