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Chapter 15―3

手足を拘束された状態で転がり、村上武智は薄暗い天井を見上げていた。 ―――いつからだろうか。 最初はただ物珍しいだけだったような気がする。セクシャル的に惹かれてはいたが、それ以上に犬猿したいと思っていた筈だ。 ならば、いつから―――。 椿山ヒカルとの出会いから振り返っても、惚れてしまうきっかけはなかったように思えた。 「おい、聞いてるのか?」 大男―――浅田から乱暴に顎を持たれて、強制的に現実に引き戻される。浅田のギラギラした目に晒されて、 ―――現実は残酷だな。 何かのドラマのような言葉を思い付いた。 「男と経験は?」 ツプ―――と、武智のシャツのボタンを外しながら、浅田が再び聞いてくる。仕方なく、武智は重い口を開いた。 「―――逆なら。」 「ああ、そうか。あの愛人か。遊びにしては危険な相手だな。社長に殺されるぞ。」 「そう、かもしれませんね。」 武智がぼんやりと答えると、浅田が面白そうに眉を上げる。 「何だ。遊びじゃなくて、惚れたワケだ。」 「ぅっ―――」 浅田のゴツイ指に、胸元からヘソの辺りまで撫でられて、ぞわりと鳥肌が立った。もちろん嫌悪からだ。 「可哀想だな。ゆっくり慰めてやろう。時間はたっぷりある。」 ニタリ―――と、浅田が薄気味悪く笑い、武智のベルトに手を掛ける。本気で武智を抱くつもりらしい。ヒカルのように美しいなら分かるが、ゴツい男を抱いて、いったい何が楽しいのだ。 猛烈に抵抗したくなったが、武智の内面を見透かすように浅田が言う。 「抵抗しなければ、優しくしてやる。」 数分後の未来を想像して、死にそうな気分になった。

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