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第8話
「ん?」
「ああ、起きたか?」
ガルーが上半身をガバッと起こし、周囲をキョロキョロと見回す。
「俺は…確かスーラが受ける術を見守っていた…はず。」
「気絶したんだよ、ガルー。」
「え?!」
壁に寄りかかって腕組みをしたままで立っているラントアを驚いて見る。
「そのお方がお前を部屋の中から連れ出し、介抱をしてくれていたんだ…礼を言うんだな。」
ガルーの座るベンチの横に向かって、顔で合図を送る。
それに導かれるように横を向くと、銀髪の華奢な体の青年が静かに座っていた。
「おまえ…あなたは?」
「あなたに無礼な口をきいてしまいましたので、そのお詫びみたいなものです…申し訳ないが、そのローブをいただけますか?」
そう言って銀髪の青年がぐいっとローブを引っ張った。
呆けたようにその姿をじっと見つめていたガルーが、それによってバランスを崩す。
「おあっ!!」
倒れ込むガルー。
その大きな音にラントアが視線を向けてため息をついた。
「おい、何をしているんだ?」
「あ、あぁ、すまない…って、お前がいきなりローブを引っ張る…か…ら…」
銀髪の青年に向かって怒鳴っていたガルーが顔を真っ赤にする。
「どうされましたか?」
銀髪の青年がガルーの体の下に埋もれるようにして首を傾げる。
その身体を覆っていた白い布が先程の騒ぎであちこち捲れ、光るように白い肌がが露わになっていた。
特に上半身は布がはだけ、その鎖骨から胸、臍に至るまで全てが曝け出されている。
そっとガルーの手がその肩を掴み、胸に手を当てる。
「何をされているんですか?」
眉一つ動かさずに銀髪の男がガルーに尋ねた。
その手を焦ったように離すと、ガルーが顔を真っ赤にしながら答える。
「あ、悪い!いや、あまりにも肌が白いから、冷たいのかなと思って…」
すまないと謝るガルーの手を取ると、銀髪の青年は自分の胸にその手をくっつけた。
「お…おい!」
「触れてみていかがですか?」
「え?!」
「冷たいですか?私の体は…どうですか?」
ぐっとガルーの手を、華奢な体の割には強い力でもって自分の肌にくっつける。
「俺よりは冷たいが、あたたかいよ…俺は熱くなってきたが…」
「え?!熱ですか?ちょっと失礼!」
言うが早いか、ガルーのおでこに手を当てる。
しばらく悩むように首を傾げていたが、不思議そうな顔でガルーを見た。
「熱はなさそうですが…」
「そっちじゃなくて、熱いのはこっちだ…」
銀髪の青年の耳元で囁くと、ガルーが自分のおでこに当てられた手を掴み、下半身に触れさせた。
「お前…分かっててやっただろう?」
「何の事でしょうか?」
「こんなところで煽ってきやがって…どうしてくれるんだよ?」
掴んでいた手を離すと、ため息をついた。
「煽るだなんて…」
ガルーの下半身に触れたままの形で放置された手がこそっと動き出す。
「っ!おい!何してる?!」
「煽るとはどう言う事かを教えて差し上げようかと思いまして。」
二人のこそこそ話とその普通ではない体の動きに、見て見ぬふりをしていたラントアがその手に鞭を握った。
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