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第16話
カーテンの閉じたままの部屋にも、窓の外の太陽の明るさが分かるほどに光が差し込む。
その中で一つだった影がゆっくりと二つに分かれていく。
「どこへ行く?」
眠っていたと思っていた手に掴まれ、再び二つの影がベッドの上で一つになった。
「別に…ちょっと身体を伸ばしたかっただけ…んんっ!」
顎を掴まれ塞がれた口によって話は無理矢理終わらせられた。
「んんっ!んーーーーーっ!…っはあぁぁぁぁ…」
ようやく唇が離れるも、抵抗も出来ないまま再びその体の下に組み敷かれ、快楽を与えられていく。
「…もっ…もうい…やだぁあ!ムリ!ムリ!もぅ…ム…リぃぃぃ…」
必死に頭を振っても、快楽が執拗にスーラを襲い、逃げ場を失い始める。
ラントアの触れる指が眼差しが口が舌が香りが言葉がスーラを追い詰め、その昂りが奥深くを貫き抉り突いていく。
数えきれぬほどに受け入れているスーラの蕾は既にそのひくつきの分かるほどに開かされ、ラントアの体液がその腰が震える度にポコポコと奥から溢れ出てくる。
「あぁぁああああっ!やっ…めてぇ!もう、もう入らないよぉぉぉ!」
哀願するスーラにラントアが非情にも再び腰を押し付ける。
涙が頬を伝うも、それに気がつく事も無いほどに、ただその身体を開き続け、その奥にラントアを受け入れ続けるだけのスーラが、ついにその意識を手放した。
ラントアがかくんかくんと力なく振られている頭に気が付き、スーラの頬を名を呼びながら叩くが、反応はない。
「落ちたか…」
そう言って、残りの昂りをスーラの腰に今までよりも深く打ち付けると、自分とスーラの体液に塗れたモノを抜いた。
ほっとため息をつき、自分とスーラの後始末をして気がつくと、既に白かった部屋に差し込む光は柔らかな月明かりと変わっていた。
ベッドから降り、カーテンを開けると宴の声が聞こえてくる。
一週間ほど続く宴に興じる者達の笑い声から、静かな月明かりの庭に目を向ける。
その真ん中で白い翼を翻し、白い裸体を晒す銀髪。
「もう、要らない。」
部屋の中でぼそっと呟いたラントアの声が聞こえたかのように、その人は寂しそうな笑顔を残し、煙のように消えた。
駆け出しそうになるのを、叫び出しそうになるのを、カーテンを拳が白くなるほどに強く握って我慢する。
しかし、それでも閉じた口から漏れるうめき声。
「くぅっ…」
葛藤と衝動、抑制のせめぎ合いが終わり、ラントアの影がゆらりと動く。
カーテンを閉めて振り向いたベッドの中で静かな寝息を立てるスーラを優しく微笑み見つめると、その横に滑り込んだ。
腕をスーラの頭の下に差し入れ、その耳元に囁いた。
「おやすみスーラ。月に惑わされぬ心を保てるように…おやすみ、スーラ。」
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