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第18話

「愛さなくてもいいと言ったはずなのに、心を受け入れろってどういう事?僕の心は逃げようとさえ思わなければ自由じゃなかったの?」」 その身に証の出ることはなかったが、その日の内にラントアに許され身体を動かせるようになったスーラが眠気を振り払いながら尋ねる。 「俺を一瞬んでもいいから心の底から受け入れさえしてくれれば…絆が混じり合って子が出来る。そうすればその子によってお前をこの国と俺に縛り付けておける。お前が俺を愛さなくとも、お前と一緒にいられる。お前を俺のそばに置いておける。俺はそれだけでいいんだ…」 「身体には勝手にラントアを受け入れる術を受けさせられ、今度は心を受け入れて子を産め。それで僕を一生縛り付けておくって…身勝手にも程があると思うんだけど。」 「そうだな…だが、もしもこのまま子が産まれなければ、子孫残しの相手を変えるという事も有り得る…それはこの国全ての人間が彼の国の滅亡を知り、お前が本当の意味で捕虜となる時だ。」 「…ずるいよ…そうやって周りをどんどん狭めていって、僕の逃げ場をなくしてく。」 「お前の逃げ場はここだ。俺だ、スーラ。」 「捕まえている張本人の間違えだろう?」 背中を向けるスーラをラントアが後ろから抱きしめ、囁く。 「その心までも捕まえられればいいんだがな。」 びくっと体を震わせ、しかしそれを隠そうと腕の中で身を捩るスーラをきつく抱きしめる。 「お前の愛を俺にくれとは言わない。だが、お前のその心を一瞬でいいんだ…俺に、いやお前のその身の安全の為に俺に一瞬だけくれないか?」 必死なラントアの言葉に、口をつぐむスーラ。二人の間を重い沈黙だけが流れていった。 その沈黙を打ち破るようにスーラが声を張り上げた。 「…無理だよ。無理だ!仇の心をこの身に受け入れ、挙げ句の果てには子供を産め?!」 「スーラ!!」 「やっぱりできない!そんな事…滅ぼされた仲間達になんて言ったらいいんだ?!それに、僕らの子がもしも産まれて、子孫残しの相手を探そうとした時、どのみち滅んだ事がバレるじゃないか!その時、その子はどうなるんだ?!僕の子は…僕が産んだ事で結局はこの国の人間に殺される…そんな酷い事をよくもしろだなんて…っ!!」 ラントアの腕が一段とキツくスーラを抱きしめる。 「そんな事はさせないっ!お前と俺の大事な子を殺させるような事はさせない!!」 「そんなの、どうなるかわからないじゃないか?!早死にしたら?お前が早死にしたら、僕達には後ろ盾は一切ない。それに今だって、もしも国が滅んだ事が知られれば、僕はどうなるか分からないって、そう言ったのはラントアだろ?今だって僕一人守れないお前が、僕と子供二人を守るなんて、よくも言えたもんだな!」 「それは…っ!」 ラントアの腕から少し力が抜けたのを見て、スーラがその腕を振り解いた。 「僕を殺せっ!!皆を仲間を、家族を国を滅ぼしたその手で、僕も殺せっ!!」 ベッドから這い出し、窓際に駆け寄ると、カーテンを引きちぎるように窓を開けた。 さーっと吹き込んできた心地良い風が熱くなった部屋の空気を冷まし、柔らかな月明かりが二人を照らし出す。 「逃げようとすれば…」 「動けなくなるんだろう?そして無様にも泣かされ、許しを乞う惨めな姿を晒す…それでも、この一瞬にかけるっ!!」 窓のサンに足をかけて外に飛び出そうとするスーラの腕を掴もうとラントアが駆け寄る、瞬間、スーラの体がぐらりとバランスを崩した。 ラントアが身体を滑らせ、その腕に動けなくなったスーラを受け止める。 「や…だ…もう、いや…だ…」 「お前が望んだ事だ。逃げればどういう事になるか分かってやったのだろう?」 「やだ…いや…ぁああ…」 流れる涙を指で拭い、スーラをベッドに横たえる。 その上に馬乗りになると、ラントアの指がスーラの顔から下半身に向かってなぞる。 「ふぅうん!」 スーラの漏れる吐息。 ラントアの指が今度は下から上に動く。 「んんっ!」 何度も行き来する指に身体が疼く。 「ラン…ト…アぁぁあああ」 「月に照らされたお前は美しい。今夜はこのままお前を愛でていよう。」 優しく指でさすられ、なぞられ、弾かれた身体の疼きはいつまでもその身に残っていく。 熱くなっていく昂りの放てぬ欲に苛まれ、身体の奥深くまで受け入れたいというひくつき愛液の滴る双丘の間に指を沿わされ、ビクビクと痙攣をしてもそこに期待したモノは与えられず、身体を震わせて快楽の渦に身を投げ出しそうになるのを何とか抑制する。 それでも、欲しいと動きそうになる口をぎゅっと噛んで我慢した為に、唇からは血が滲み出した。 「我慢強いのもいいが…そろそろ受け入れる気にならないか?」 昂りを指で弄びながらスーラの耳元で囁く。 「や…だ…」 「そうか…まあいい。時間はたっぷりあるし俺は気が長い方なんでね…いくらでも待っててやる…お前が俺を欲しいというまで…」 恐怖からか、それとも快楽からなのか分からない震える身体をラントアが抱きしめ、自らの昂った腰を擦り付ける。 それを欲しがる身体の奥深くの疼きに落ちそうになるのを仲間の顔を思い出してやり過ごそうとするも、すでに何年も会っていない仲間の顔は朧げとなっていた事に気がつく。 もう、いいんじゃないのか?! 受け入れてしまえば楽になれる。 心がぐらぐらと揺れる。 それでも…それでも…仇は仇!! きっと睨むスーラにラントアがため息混じりの微笑みを見せると、ラントアの指がスーラの体内を侵し始めた。

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