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第22話
うつ伏せで顔を枕に預け肩が震えている。
「どうした?」
ラントアがスーラを抱き抱え、自分の膝に乗せて尋ねる。
スーラは俯き腕で顔を隠したまま、ただ黙って首を振った。
「そうか…俺は少し雑務の為にこの部屋を出る。逃げようと…出来はしないと先ほどこの体によく言い聞かせたが…それでも逃げようとすれば、見張りの者達の首が飛ぶ…と、ガルーからの伝言だ。」
「何で?!」
スーラが俯いていた顔を上げた。
「俺から逃げると言う事は国同士の約定を違えたと言う事。その事がこの国の者達に知られれば、彼の国への不信に繋がる…だから、それを許した罪と、その口封じ。」
「部下を、仲間をそんな簡単に殺すのか?!」
「簡単じゃない!だが、それほどにこの問題が重要で難しい、ほんの少しでも何かあればその均衡は一瞬で崩れる…そう言う事だ。」
「もう、もう崩れてる!僕の国は…僕の故郷は…お前に滅ぼされた!!」
「…だからこそだ。だからこそ、俺はこの命をかけてお前を、そしてお前との子を守る、守ってみせる…その為にガルーと…」
「ガルーとどうしたの?」
「なんでもない…お前には関係がない事だ。」
もう行かないとと、ラントアがスーラをベッドに横たえる。
布をかけられ、それに顔を埋めたスーラの布から少し出ている髪を撫でて口づけた。
スーラを気遣い静かに立つラントアに、我慢できずスーラが布の中から声をかけた。
「僕以外にも…僕以外にも殺せていない仲間がいる…なんて事…」
「ない。お前達の裏をかいたと言ったはずだ。もしそれがあったとすれば、この計画をしたそちらの不備だろうが…そんな事があればガルーが完璧にしているだろう。」
「そうか…それでも、もしかしたらそのほんの少しの穴から逃げられた者が…」
「いたとするなら、地の果てまでも追いかける。お前以外の例外を作る気はない…しかし、久しぶりにまともなお前の声を聞いた…」
「それは、お前がっ!!」
顔を真っ赤にして上半身を勢いよく起こすスーラを、目を細めてラントアが抱きしめた。
「そうだな…大半は俺のせいだ…だが、お前が可愛すぎて愛しすぎるのだから仕方がない。俺の手で泣き、よがり感じる姿をもっと見たい…今からその証をお前に刻みつけたいよ、スーラ。」
「し…仕事があるんだろうっ!?」
「そうだったな…そうだ、俺がいない間にお前のここを解しておこう。」
双丘の間に指を入れられ背中がビクンと跳ねた。
「な…にを…っ…」
「昔からあるおもちゃだ…ああ、その手で取り外されては困るな…」
そう言うと、ラントアがそばに置いたままのちぎれた布を手に取った。
「これがまた役に立つ。」
スーラの目の前で振られた紐を見て、スーラが身を捩る。
しかし、その身体はラントアの腕の中で身動きできず、簡単に両手首を紐で縛られた。
「さて、こちらはここに括り付けて…」
スーラの身体をベッドに横たえながら、腕を戒めている紐の反対側の端をそれぞれベッドに括り付けた。
「やだ…ラントア…やだ!!」
身を捩り涙が浮かぶ目に大丈夫と優しく口付けると、手に持った小さな塊を双丘の間に押し込んだ。
「はぁああっ…っき回さない…でぇ…くぅっ…ん…」
腰が揺れ、クチュクチュという音が指の動きに合わせて聞こえだすと、ラントアが指を抜いた。
「ぁ…はぁ、はぁ…な…にを?」
荒い息をつきながらラントアに尋ねる。
「俺が帰ったらすぐにお前を愛せるようにちょっとした準備だ…気持ち良すぎてイくなよ?!」
横を向くスーラの唇をぐっと指で下げたラントアが覆い被さるようにして口を合わせ、その口内をいいように嬲ってから満足そうに唇を離すと、布をかけて扉から出て行った。
暫くすると薄暗い部屋の中で、白い布が艶かしく揺れ出した。
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