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第24話
ガルーに背中を押され、部屋から出たラントアを追いかけてくるようにスーラの悲鳴が聞こえてきた。
ハッと後ろを振り返るラントアの目の前で、扉がガルーの手によって閉められる。
扉のノブに手をかけようとしたラントアの腕をぐいっと力任せに掴んで、ガルーが自分の部屋まで有無を言わせず引きずるように大股で歩いて行く。
「離せっ!ガルー!離せっ!」
「………。」
ラントアの声に反応する事なく黙々と歩き続けるガルーが突如止まり、ラントアが危うくガルーの背中にぶつかりそうになった。
「入れ…」
扉を開け、部屋の中に投げ込むように入れられたラントアが床に倒れ込んだ。
「ガルー!こんな扱いは受け入れられない!」
「王子気取りか…俺の前で。」
「…っ!」
「わかっている…よな?」
顎を掴まれ、顔を無理やり上げさせられたラントアがガルーを睨む。
「俺は、この国の王子だ!」
「王子だが王にはなれないはずだった…だろ?」
「…。」
黙り込むラントアの目に視線を合わせたガルーが口端を上げた。
「サンクリウスが術はしばらく時間がかかると言っていた。ラントア、楽しませろよ…なあ、王子様。」
「俺は、扉の前で待つ。スーラを一人にさせたくない。」
「おい、これはお前から言ってきた約定だろ?いいか、もう一度言う。俺を楽しませろよ、王子様。」
「ガルー…」
苦しそうな顔でガルーを見つめていたラントアが、意を決したように顎を掴むガルーの手を叩き落とした。
「今は、無理だ。」
そう言って、立ち上がりかけたラントアの足に紐が巻かれた。
どすんと尻餅をつくように転んだラントアがガルーに食らいつく。
「何をする?!」
「行かせねーって言ってんだろ?王子様は耳が聞こえないのか?」
「ガルー、いい加減にしろ!」
巻かれた紐を取ろうと手を伸ばしたラントアの身体が不意に浮いた。
ガルーの肩に担がれ、ベッドに落とされる。
「ガルー!」
そのまま腕を掴まれ、ベッドにつけてある鎖に繋がれた。
「何をっ?!」
「言うことが聞けない身体を戒めただけだ。さあ、始めようか、王子様。」
ミシッとベッドが軋み、ガルーがラントアの身体に覆い被さった。
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