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第33話
「それにしても…少しは驚くとか焦るとかしないのですか?」
呆れたように何の変化も示さぬガルーを見てサンクリウスが言った。
「これでも十分に驚いていますし、焦っていますよ。」
表情ひとつ変えず、ラントアの髪を撫で続けているガルーの手をサンクリウスが掴んだ。
「私を見ろ!」
「何の為にですか?」
「何の?私が見ろと言っているからだ!」
「それでまた私に術をかけるのですか?」
「うるさいっ!こちらを、私を…私の目を見ろっ!」
「術をかけられると分かっているのに…ですか?」
ガルーの全く動じない姿に、サンクリウスが我慢できずに動いた。
ガルーの顎を掴み顔を上げさせると、ガルーの視線とぶつかった。
「術を…かけますか?」
ガルーの好戦的な目にサンクリウスが怯んだ隙を突いて、ガルーがサンクリウスに掴まれていた手に力を入れてベッドに引っ張り倒すと、その上に馬乗りになった。
「術などかけなくとも…抱いてやるよ!」
サンクリウスの服をはだけさせると、その首に噛み付くように跡をつけていく。
「ガ…ルー…あ…やぁっ!」
「はっ!じゃあ、これは何だ?」
ガルーの伸ばした手の中で、サンクリウスが反応していく。
「あぁっ!助け…っ!」
「術をかけなきゃ、王子様は主導権が握れないもんな?なあ、サンクリウス…お前の本当の姿…俺に曝け出しちまえよ!」
ガルーが脈打ち出したサンクリウスのソレを激しく扱き出すと、身体をビクンビクンと痙攣させ、腰が浮いた。
「はああぁああああぁああ!」
その手についた液体をガルーが舐めると、苦しそうに肩で息をしているサンクリウスをうつ伏せにして、その液体のついた指でサンクリウスの内を奥に奥にと進んでいく。
「いやぁあああああ!」
サンクリウスがうつ伏せのままで逃げ出そうとするのを、ガルーの手がその腰を掴んだ。
「今更逃げるなよ!お前好みの俺とは違うかもしれないが…受け入れて下さいますよね?サンクリウス…様。」
耳元で囁くと同時に、ガルーが腰をぐっと突いた。
「あ…ああああああああああ!!」
サンクリウスの絶叫が部屋に響き渡る。
「少しは我慢しろよ…弟が起きて見られちまうぞ。」
ガルーの言葉にサンクリウスが反応した。
「おいっ!急に絞るなよ…ってラントアで反応したのか?」
「違うっ!」
「じゃあ、見られる…って言う言葉にか?」
「…っ!」
「っくぅ!反応いいな…むちゃくちゃ絞ってくる…」
「や…めろっ!」
「やめてもいいのか?」
ずるっとサンクリウスの中から自身を抜こうとするガルーにサンクリウスがその腰に手をやって止める。
「どうした?」
「意地悪…」
サンクリウスの真っ赤になった顔を覗き込んでガルーがニヤッと笑った。
「して欲しいんだろ、意地悪。痛いのも恥ずかしいのも…気持ちいいんだろう?こんな風にさっ!」
抜きかけたそれに手を添え、再び一気にサンクリウスの内をこじ開けていく。
「やっぁああああああああああっ!」
「ラントアを起こしてやろうぜ、お前のその声で!」
「っくぅぅぅうううう…はあああああん!」
一瞬は手で口を押さえたものの、ガルーの腰の激しさと目の前にいるラントアへの背徳感からか、それによって今まで感じたことのない快感がサンクリウスの手をその口から外させた。
「すっげえな…俺もやばいわ、これ。サンクリウス…俺が欲しいか?」
一瞬、サンクリウスの時が止まった。
「ラントアを裏切ってもいいぜ。」
ガルーがサンクリウスの耳元で囁いた。
「信じ…ない。」
サンクリウスの腰がガルーから離れようとする。
それをガルーの手が上から掴むと、サンクリウスを膝に乗っけるようにして起き上がった。
「ひあっ!ぁぁぁああああああっ!」
それまでよりも奥までガルーでいっぱいになったサンクリウスが体を震わせ、背中をのけぞらせた。
「俺をお前にやるって言ってる!これはお前との約定だ。お前の方がこの言葉の重み、分かるだろう?」
「ほんと…うに?」
「俺を心から受け入れるか?それならばその証によって、お前のモンになってやる。この国の騎士団長たる、このガルーがお前のものになってやる。」
「受け入れ…る。ガルーを、その身体も心も、ガルーの全てを受け入れるぅああああああああっ!」
サンクリウスの言葉にガルーが満足そうに頷くと、その体を四つん這いにさせて激しく腰を打ち突けていく。
サンクリウスの悲鳴が絶叫に変わり、ベッドに突っ伏すようにして体から力が抜け、ラントアの横に横たわった。
その体を仰向けにしたガルーがサンクリウスの太ももをそっと撫でる。
サンクリウスもその上に手を添えた。
「証を確かに。」
ガルーの言葉に、二人がどちらからともなく唇を合わせる。
月明かりに照らされたラントアに出ていた証はいつの間にか消え去っていた。
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