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第26話 仔犬ちゃんは諦めない②

「ライさんっ…あっ…ま、待ってっ……ひぁっ」    がぶり、とうなじを噛まれて、希望は大きく身体を震わせ、悲鳴をあげた。希望が固まって震えていると、ライは噛み跡を丹念に舐めて吸い上げる。    人気のない基地の奥、建物の影になっている裏側で、希望の震える声が響いていた。  いつの間にかYシャツもボタンは器用に外されて、すっかり立ち上がった胸の突起を直接触れることも許してしまった。   「あっ…んっだめっ、やめっ…だめっ…あぁっ…ンッ…!」    後ろから伸びる手が胸を弄り、尻尾もまだライの手中にあった。膝が震えて、希望は壁に両手をついて耐えるが、ライの方へ腰を突き出す体勢だ。そんなつもりはないのに、刺激に反応する度に腰が震えて、まるでライに強請るように腰を擦り付けてしまう。  屈辱に涙が滲むが、それでも希望は諦めていなかった。  まだ挿れられてないし! イッてないし! と希望は自分を言い聞かせる。  恥ずかしくて逃れたいのに、ライは希望を抱き抱えるように腕を回していて敵わない。  それどころか、背中に感じる熱さと逞しさが何故か心地良く、身を委ねそうになる自分を必死に否定し抑え込んだ。  弄ぶ指先と思考を遮る甘い刺激に耐えながら、どうにかしなきゃ。どうしたら。と希望は必死に考える。    尻尾さえっ……尻尾さえ離してくれたら……!   「…あっ…んっ…ラ、イさん…しっぽ、もう……っひぅっ…!?」    胸を弄んでいたライの手が、希望のズボンのチャックに手をかけていた。  何をどうされるか容易く想像できてしまって、ぐるぐる頭の中が掻き乱される。まためちゃくちゃにされる。  どうしようどうしよう! と追い詰められた希望は、咄嗟にライの手を掴んだ。   「ラ、ライさんっ…!」 「あ?」    戯れを邪魔されたライの低い声に、ビクリと震える。ぐるぐる回る頭で必死に考えた。   「きょ…今日は、口でさせて……?」    ――恥ずかしいけど、もうこれしかない……!!    恥ずかしさで、顔どころか首筋さえも熱くなる。瞳も潤んでいくが、「これで勘弁してください」と縋るような思いでライを見つめた。  ライは珍しく動きを止めて、二度三度瞬きを繰り返した。誂われた方がマシだった。居た堪れない時間が流れて数秒後、ようやくライは首を傾げた。   「……口で? 咥えたいってこと?」 「っ……う、うん……」    咥えたい、なんて思ってない。けれど、希望は頷いた。  ヤラれてしまえば、気持ち良さでグチャグチャにされる。だけど、口でするだけなら、自分が気持ち良くなるはずはない。ライが満足すれば、無事に解放されるだろう。  ライは希望の様子を伺うような眼差しを向け、少し考えているようだった。ライがすぐに答えを出さずに考えていることは珍しい。  目眩がするほど必死に考えて、恥ずかしい思いで懇願したのに断られたくない、と潤んだ瞳でじっとライを見つめる。  見つめ合って数秒、ライがふ、と軽く笑った。   「いいよ」    ライの言葉に希望はほっと表情を緩めた。

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