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※第45話

 美風は雄の顔をした美しい悪魔に見惚れてしまう。本当に魂を奪われそうだ。  見つめる美風の目を見返し、アリソンがフッと微笑む。 (うわっ! これ、女なら一瞬で落ちるやつだな)  美風は内心でじたばたともがいた。ホワイトシルバーの髪と、スカイブルーの目がより一層美しさに磨きがかかっているからだ。 「あっ!」  突然、美風の思考を吹っ飛ばすように、アリソンが腰を打ちつけてきた。 「あ……アリソン……」  驚く美風を置いて、アリソンの腰使いは徐々にと激しく勢いづいていく。 「ぁ……あ……ん」 「ミカっ……孕むまで愛したい」  恐ろしいことを口にしているが、美風はそれどころではなかった。アリソンから与えられる快楽といったら。セックスがこんなに気持ちいいものだったとはと、美風は素直に悦楽を貪っていた。 「あぁ……ぁ……気持ち……いい」 「ミカ……愛してる」  アリソンの動きは美風を労わるように優しさを見せながらも、時折美風への執着と獰猛さを露わにする。その緩急に美風は益々とのめり込んでいく。 「ミカ……」 「んぁ……アリソン……また……イク……」  お互いに何度果てても、繋がりが解けない。もうアリソンのためだとかの同情は吹き飛んでしまっている。お互いが目の前の男に夢中になっていた。 「何度でもイッていいぞ」  その声を最後に美風は意識を手放した。 「ん……」  身体の節々が痛い。特にお尻が何か挟まっている感覚がして、美風は違和感で目を覚ました。 「おはよう、ミカ」 「っ!」  目を開けていきなり美形が飛び込み、美風は驚きで一瞬固まってしまった。 「あ……アリソンか……びっくりした。おはよ」 「身体は辛くないか?」 「身体……」  ぼんやりとしていた頭が一気に覚醒していった。  そうだった。昨夜はアリソンと初めてセックスをしたのだ。不意に恥ずかしくなって、美風の顔は急激に熱くなる。 「あ……あ、うん、大丈夫。いま何時なんだ?」  赤い顔を見られたくなくて、アリソンにそう訊ねるが、彼は時計を一瞥もしないで「八時」と言う。 「八時か……。てか、そんなにガン見しないでくれよ」 「ミカの顔はずっと見ていたい」 「……」  甘い。甘すぎる。アリソンに対してつくづく思うが、悪魔なのにこんなに甘い言葉が出るって変だろうと。人間界の知識を得たからといって感情面まで学べない。これはアリソンの性質なのだろうか。 (それにしても甘いわ……。糖分過剰摂取で死にそうだ) 「そ、そう言えば、アリソンの髪と目がまだ本来の姿のままじゃん」  上半身裸で美風の隣に横臥し、美風の栗色の髪をずっと撫でているアリソンに言う。 「やはり、かなり濃度が高かったお陰で十分な補給となった。完全な魔力から言うと今は六割くらいは回復しているな。まぁ、あれだけ(むつ)まじくしている時間が長ければ、魔力の維持も良いだろうな」

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