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第49話

 そのとき、公園の一角に青い光が眩しく煌めくのが見えた。 「え……なに?」 「心配するな。人間には見えない」  アリソンはそう言って、光った方角へと歩いていく。 (オレも一応人間なんですけどね)  美風は一人苦笑を浮かべながら、辺りを見回した。アリソンが言う通りに、行き交う人らは光に気づくことはなく、通り過ぎて行く。 (本当に見えないんだな……) 「アリソン、さっきの光は何?」 「ミカに会わせたい奴だ」 「え?」  アリソンの表情がとても愉快そうだ。美風に会わせたいという事は、もしかしてアリソンの仲間だろうかと美風も(にわか)に心が踊った。 (どんな悪魔なんだろ。アリソンの知り合いだったら相当の上級悪魔だよな)  いつもの公園内に入るとそれは直ぐに確認出来た。  真っ暗に日が落ちた公園内。背の高い一人の男が青い光を纏っている。それは静電気のようにバチバチと明滅していたが、やがて消えていった。 (マジで異世界から来ましたっていう登場シーンだな)  美風は目を丸くしていた。  そして男がこちらに顔を向けた。その距離は約十メートルくらいか。  美風は男の風貌に「おぉ……」と無意識に呟いてしまっていた。暗くて少し分かりずらいが、髪の色は白が強めのブルーが入ったストレートの髪。胸元まであり、綺麗に手入れされている事がここからでも分かる。ダークスーツに身を包み、長身のモデル体型はため息が出るほどだ。  そして容貌はアリソンとタイプが違うながらも、人間界ではなかなか拝めない美しさだった。  アリソンは男らしさを秘めた一見冷たそうな美貌だが、あちらの彼はどこか中性的でありながらも、強い意志と自信に満ちた美貌だ。  男はこちらに真っ直ぐと足早にやってくる。近くに来れば来るほどに美貌が際立つ。そして素早くアリソンの前で片膝を突いて、(こうべ)を垂れた。 (え? アリソンに跪いてる……。え?) 『王、ご無事なお姿を拝見し、(わたくし)は……私はとても嬉しゅうございます』 『相変わらず大袈裟な奴よ。それほど日数は経ってないのだろう?』  アリソンが苦笑を混じえ言うが、男は顔を上げず首を横に振った。 『いいえ、三日です、陛下。陛下が三日もご不在など考えられません』  男が一度も顔を上げないので表情は分からないが、声のトーンで憂いた空気が伝わってくる。  美風は話の邪魔をしてはならないと理解はしていても、どうしても二人の関係が知りたくてアリソンの腕に触れた。 「アリソン……話してるところ悪いんだけど、その方は? 例によって言葉が分かんなくてさ」 「あぁ、そうだったな。すまない」  美風の頬を撫でた後、アリソンは未だ(おもて)を上げない男に向き直った。そして男の頭上にアリソンが手を翳す。何らかの魔力を男に使っているのだが、美風は「あ……」と思わず声をこぼしてしまった。

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