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※第64話

「ん……ぁ……あ」  狭い部屋には濃密な空気が充満している。粘着質な音と、美風の艶かしい声は途切れることを知らない。 「やぁ……そこっ」  ビクリと全身を跳ねさせながら、美風の身体は少しずつずり上がっていく。その度にアリソンに腰を抱えられ戻される。  逃げたくなるのは、あの部分を執拗に弄られているからだ。アリソンと繋がるための大事な場所。丁寧に解しつつもアリソンは美風を啼かせてくる。 「だいぶ柔らかくなってきた。ミカ、そろそろいいか?」  荒い息を吐きながら、美風は頷いた。早く来て欲しい。アリソンの猛った雄で中をいっぱいにして擦って欲しい。美風はアリソンの太い茎をそっと掴むと、自身の蕾へと押しつけた。 「挿れて、アリソン」  アリソンがゴクリと喉を鳴らした。そして一番大きな先端部が、蕾の襞を目一杯に広げながら挿入されていった。熱くて太いモノが美風の中へと飲み込まれていく。 「あぁ……アリソンが……入ってくる」  全てが埋め込まれると、アリソンは身を屈め、美風の顔にたくさんのキスを落としていった。 「ミカ、痛くないだろ?」 「痛く……ない……魔力?」 「あぁ、少しな」  十分に解したこともあり、魔力はそれほど必要ではなかったようだ。  アリソンの愛をここでも強く感じた。早く繋がりたいだろうに。解さずに魔力を使ってしまえば良かったのに。でもそれでは自分の楽しみが減ってしまうとアリソンは言う。自分の手で愛する美風を善がらせたい。苦痛は少しでも減らしてやることが男の務めだと。 (本当にいい男だな……)  美風はアリソンの頬を両手で挟み軽いキスを唇に落とした。  それから二人は休憩を挟みながらも朝まで絡み合っていた。人間の姿で愛される最後の夜は、汗に塗れてクタクタになりながらも、心身ともに満たされていた。 「綺麗な姿だな」  アリソンが感嘆のため息をこぼした。  まだ全裸の二人。美風の髪は陽光を受けゴールドに輝き、瞳はパープルに煌めいている。そして真っ白な羽が背中を覆う。  人間がこの姿を見れば、祈らずにはいられないだろう。 「ありがとう……」  美風はアリソンの厚い胸板に顔を埋めた。  〝天堂 美風〟が人間界から消えた瞬間でもあった──。  神が訪れる前に身支度を整え、まったりと二人身を寄せ合う。アリソンの肩に頭を預けると、アリソンの手がミカエルの髪を撫でる。気持ちよくてミカエルはうっとりと目を閉じた。 「神は俺とミカが恋仲にならなかったら、どうするつもりだったのだろうな」 「天主様のご意向はオレなんかには分かりようがないけど、きっと天主様には見えていたからこそ、アリソンが人間界へ送られたんだと思う。アリソンの人柄と言えばいいのか、それも含めてオレとの相性とか」  ミカエルはそう言ってクスリと笑った。

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