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第69話
ミカエルが首を振りながら「嬉しい」と伝えると、アリソンが突然ミカエルを抱き寄せた。
「なっ……ん……」
次に唇が重なり、激しい口淫の襲来に驚くも、アリソンとのキスは気持ちいいために、ミカエルは直ぐに夢中になってしまった。
飲みきれない唾液が顎を伝うと、それさえも勿体ないとアリソンが舐めとっていく。ミカエル以上に、アリソンの欲情の上昇が顕著になっていた。
白いシャツの裾からアリソンが手を滑り込ませ、ミカエルのスベスベとした肌質を堪能するように脇腹を撫でている。擽ったくてミカエルが身をよじると、次にアリソンの手は胸へと移っていく。
「んん……っ」
親指が頂を掠めると、そこは直ぐに固くしこり、快感が一気にミカエルの全身へと走り抜けていった。
しかし今ここでこんな事をしている場合ではない。ミカエルは羽を広げて、アリソンの拘束から逃れた。
「……ミカ?」
とても不満そうにアリソンはミカエルを見上げる。
「だって、アリソンここで最後までやりそうな雰囲気だったし。それはさすがにマズイよ」
「誰が王のする事を咎められる? それにここは誰も立ち寄らない」
「そうじゃなくて! オレがダメなの」
ついさっきまでいたしてましたという空気を、上手く誤魔化せる自信がミカエルにはない。居た堪れないにも程がある。
ミカエルの訴えに、アリソンも思うところがあるようで、納得してくれたのか肩の力が抜けたのが見て取れた。
「分かった。もうしないから、降りてこい」
両手を広げて待つアリソンに、ミカエルは一拍置いてからアリソンの腕の中へ戻った。ふわりとミカエルを包む腕は確かに性的な匂いはしない。ただ残念という念は強く感じられた。
「ごめんな、アリソン」
「いや……ミカが傍にいると、どうしてもくっついていたくなる。すまない」
アリソンに犬の耳と尻尾があれば、きっとペタリと垂れているだろう。ミカエルは思わずとアリソンの白銀の髪を撫でた。するとアリソンがミカエルの頬に顔を擦り寄せてきた。もっと撫でてということらしい。
(か、かわいい!!)
二人は暫く思い思いに悦に入っていた。どれくらい経ったのか、アリソンが再び不満そうに深いため息を吐いた。
「……どうしたんだ?」
「早く城内へ帰って来ない事に、ラルフがかなりヤキモキしている……」
どうやらラルフの強い念はアリソンに伝わるようだ。二人が既に魔界へ入って来たことは、魔王の気配で直ぐに分かっているという。それなのに中々城に戻って来ないとなると、ラルフからすれば心配もするだろうし、王にも早く会いたいだろう。
「そ、そっか、なら早く行かないとな」
「そうだな……行くか」
渋々と了承したアリソンは、移動するためにミカエルの腰を抱き寄せた。
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