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※第111話
「ミカ、出すのを手伝ってもいいか?」
全く萎える様子がない自身のモノに、ミカエルは視線を移した。痛いほどにそれは勃ち上がっており、本音を言えば早く出して楽になってしまいたいだ。でもきっと触れられたら恐ろしい事になりそうで、素直に頷けなかった。それほどに全身が敏感になりすぎているのに、それが性器となれば想像するだけで怖い。
しかしミカエルの性器からは、期待に蜜が溢れ出ていた。
「出したい。でも怖い……。触られたら絶対におかしくなる」
「なればいいだろ? 俺しか見てない。いや、誰にも見せるわけにはいかない。俺だけのミカだ。だから素直に感じればいい。感じてくれた方が俺は嬉しい」
アリソンの誠実そうに見せている青眼。しかしそんなわけが無く、ミカエルがもっと欲しくてたまらないのだと言っている。
「本当に……おかしくなっても……いいのか?」
「あぁ、もちろん」
「ひゃああっ!!」
息付く間もなく、アリソンが敏感に勃ち上がっている陰茎を握ってきた。緩く擦りあげられただけで、恐ろしい程の快感が襲ってくる。ミカエルの身体は逃げるように、上へとずり上がっていく。
「大丈夫だミカ。ほら、気持ちいいだろ?」
ずり上がる度に身体を戻されながらも、手の動きはミカエルを追い詰めていく。
「ひぃあぁ……ん……ぁあ……」
「ミカ……挿れていいか?」
耳元で囁くように言われたが、ミカエルには何と言われたか理解出来ず、ただ反射的に頷いてしまっていた。
「やぁ!! アリソン……ダメぇ……あぁぁぁ」
ミカエルの悲鳴に似た嬌声は大きく響き渡る。魔王の居室には誰も近づくことがない事が、唯一の救いだったに違いない──。
散々アリソンに愛されたミカエルの身体は、今や生きた屍状態だった。精も根も尽き果てたように、情事の後のミカエルは人形に成り果てていた。
アリソンに甲斐甲斐しく後始末をされている間も、触れられる度に身体が快感を感じていたが、ミカエルの意識はほぼ無い状態だった。
今はベッドの上でうつ伏せになって、遠くをぼんやりと見つめている。
「ミカ、水だ。飲むか?」
焦点が合わない中で、ミカエルは小さく頷いた。アリソンがそっとミカエルの頭を片手で包み、頭を僅かに起こすと口移しで飲ませてきた。少し温いが恵の水はとても美味しい。
「すまないミカ。ミカに触れられると思うと、自制心を抑えることが出来なかった。可愛くて、綺麗でセクシーで──」
「アリ……ソンっ」
喘ぎすぎて掠れた酷い声で名を呼び、遮る。このまま黙っていたらもっと恥ずかしい言葉が出ていただろう。
「謝らなくていいって。これは幸せを噛み締めてて、ちょっと動けないだけなんだ」
反省して落ち込んでいるアリソンに、ミカエルはニカッと笑顔を見せた。
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