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第14話
「あっ、葵くんいたいた」
「! 巧さん、おはようございます」
労しい自分の姿が見るに耐えなくてパジャマを着ると、バスルームに巧さんが顔を出す。
「葵くんがあんまりにも可愛いから、夢中になっていっぱい跡付けちゃった。ごめんね?」
「可愛いって……もう、良いですけど! 鏡見てびっくりしました」
「あはは」
笑い事では無いです、巧さん……毎回呼ばれる度にこんな惨状になったらどうしよう……。
「はい、これ、葵くんの服。クリーニング出しておいたから」
「すみません、ありがとうございます」
この部屋に来てから、ほぼセックスしかしていないから自分の服のことなんかすっかり忘れていた。
いつの間にかクリーニングに出してくれるあたり、やっぱり巧さんって出来る男だよな……としみじみ思う。
まあ、俺の服は安物だからクリーニングに出すようなものじゃないんだけど。
「もっと葵くんと一緒にいたいけど、今日は仕事があるんだよね。葵くんも今日は出勤だよね? 一緒に出るなら家まで送るよ。時間までこの部屋でゆっくりしても良いし、どうする?」
巧さんの言葉にハッとする。
そうだ、今日からホストに戻れる……! 知らない男とセックスして稼がなくて済む……!! 小躍りしたい気分だ。身体痛くて出来ないけど!
今から家に帰るか、時間までここに残るか……。
高級ホテルなだけあって、ここのベッドは寝心地が最高に良い。半年前に寮を出て、狭い1Kで暮らしているから、この広くてふかふかのベッドは魅力的だ……着替えもあるし……。
「ここにいる?」
「……はい。良いですか?」
「良いよ、ゆっくりしてね。さ、モーニング頼んだから顔洗っておいで。一緒に食べようか」
「ありがとうございます!」
身体はギシギシとあちこちが痛むけれど、言われた通り顔を洗い身嗜みを整えてから巧さんと朝食を取る。
まだ出会って二日? ぐらいだけど、巧さんに慣れて来たのか巧さんと一緒にいるのは苦痛ではない。
ヤクザだし、マイペースだし、セックスしちゃったけど、酷いことはしない……むしろ優しい巧さんに居心地が良いと思っちゃったりしている自分が居た。
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