19 / 92
第19話
掃除を終えたが開店までまだ時間があったので、急いで巧さんにメッセージを送る。
『巧さんありがとうございました。無事お店着きました』
なんて送ったらいいのかわからなくて当たり障りのないメッセージを送ると、すぐに既読がついた。はやい。
『こちらこそありがとう。葵くんも大変だろうけど、頑張ってね。俺もまだ仕事が終わりそうにないよ』
朝の駄々を捏ねる巧さんの姿を思い出して思わず笑ってしまう。
巧さんも頑張って下さい、と返信をする。
営業と業務連絡以外のメッセージなんて滅多にしないから葵と呼ばれるのも、こんなやりとりも新鮮だった。
お店の営業が始まると渚さんがエースの姫と仲睦まじく同伴出勤をしてきたので、洸と目を合わせた。
「ほら、大丈夫。良かったね」
「よ、よかった〜!! 渚さんが着替えてる間に昨日のこと謝ってきます! 蒼さんも病み上がりなのに、相談付き合わせてすみません! ありがとうございます!」
そのまま洸は渚さんの背中を追っていった。
俺は内勤さんに声をかけられ、渚さんのエースのヘルプにつく。
「あっ、蒼〜! 昨日何で休んだのぉ? もう元気?」
「すみません、ちょっと体調悪くて……今日はもう元気です! なんで今日の俺はいつもと違って、飲みますよー!」
「あはっ、いつもと一緒じゃん! じゃあとりあえずモエピン飲もっ♡」
「わ〜! ありがとうございますっ! コールどうします?」
「あとで飾り入れるからコールいらなーい! あ、飾りは渚にナイショで入れるからまだ言わないでね♡」
「はーい、分かりました!」
「渚来るの遅いから先開けちゃおー! さんさーん、にいにー、いちいちー!」
ポンっ。小気味良い音と共にシャンパンのコルクを開ける。
「今日はたくさん飲もーね! カンパーイ!」
「はーい! いただきます!」
カチャリとグラスを合わせてから、シャンパングラスに口をつけた。
ともだちにシェアしよう!