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第23話
「俺ってそんな甲斐性無いように見えるかな〜、一回10万とか値切りすぎだろとか思ってる?」
「い、いえ、そんなことは……」
むしろ、10万円でも結構貰っている方だと思う……。
俺はもしかしたら巧さんの気が変わって風俗店に飛ばされるんじゃないかと思って、こっそりとゲイ向け風俗店、売り専について調べていた。泊まりのプランの相場が6万から7万円ぐらいだったので、キャストのバックはこの金額の半分以下なのは想像出来る。
そもそも泊まりの予約なんて、値段が高いから滅多に入らないだろうし。
120分コースで2万円ぐらい、バックがその半分と思うと208万円返すのも相当アナルを酷使しないといけない……! と計算して震えたのは記憶に新しい。
それでも、ホストとして働くよりは早く返せるんだけど……そもそも俺が指名を呼べてないから全然給料無いし……。
「買い物代ぐらい俺が払うし、食事も葵くんが気にするなら個室の所に行くよ。葵くんが普段行ってる店でも良いし。一回10万なのは……せっかく可愛い子に会えたのに、あんまり高くするとすぐ返済終わって会えなくなるかなーって思ったから」
「……そう思ってるのに、なんですぐ呼ばなかったんですか? あんなにしたのに、連絡も全然ないし」
あ、やば。言うつもりはなかったのに、ついつい非難するような言葉が口から出てしまった。
「葵くんもこの間は急だったし、すぐに呼んだら心の準備出来てないかな? って思ったんだよ。連絡も鬱陶しいだろうし」
「別に鬱陶しくありません。連絡ない方が、俺は気になるタイプです」
そう、そのせいで俺はここの所ソワソワしっぱなしで、店で片付けをしている時にグラスを割って注意された。
「そうだったの。ごめんね?」
「良いです、俺も断ってすみません。次は一緒に食事に行きましょう」
「約束だよ」
そう言った巧さんは俺の顔に手を添えて後ろを向かせると、唇を塞いだ。
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