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第25話
巧さんは俺に服を脱がせるのが好きだ。絶対。
今なら巧さんの裸も見たことあるし、俺なんか尻の穴まで見られてるのに、いちいち恥ずかしがるのが原因だろう。
きっと初々しさとか、恥ずかしがる姿が好きなんだろうな……処女厨だから……。
ジャケットを脱がし、ベストのボタンを外す。
手持ち無沙汰なのか、巧さんの手がふわふわと俺の髪の毛を撫でる。
「ふふ」
「くすぐったい?」
思わず笑ってしまうと、巧さんの手が止まった。
ああ、気持ちよかったのに。
「くすぐったくないです。頭撫でられてるみたいで、新鮮で」
「撫でられるの好き? ほら、よーしよし」
両手でがしがしと頭を掻き混ぜられる。
「あはは、そんなにされたら手が止まっちゃいます」
「可愛いから、いいかな」
優しい目で見られると、胸が勝手にきゅんきゅんしてしまう。
巧さんからしたら、数あるうちの愛玩動物として俺に可愛いと言って優しくする、それだけなのに。
でも自分が巧さんにどう思われたいなんかわからないし、自分が巧さんのことをどう思っているかなんてわからないから、きっと愛玩対象と思われるのが正解なんだ。
そのまま頬を掌で挟まれて、巧さんの優しいキスが降ってきた。
唇を啄むだけの可愛らしいキスなのに、俺の身体の熱が上がっていく。
何度もちゅ、ちゅ、と降ってくる愛らしいキスにとうとう我慢出来なくなって、巧さんの唇をぺろりと舐めた。
「積極的だね」
「巧さんとキスするの、好きです……」
だって気持ちいい。やわらかな唇が俺を喰らい尽くそうと齧り付くのも、俺の口腔を好き勝手にされるのも。
巧さんの顔が近づいて、唇がぴったりと重なるともう俺の身体は力が入らなくなった。
巧さんの厚い舌が、歯列をなぞり、上顎を撫でるとお腹がきゅんと疼いてくる。
「んっ、…ふっ」
キスをしている間に巧さん手が俺の服の中に侵入して、俺の胸の尖りを掠めた。
「ん……っ!」
ビクン、と身体が跳ねてしまう。
乳輪をなぞるように指が這い、突起を摘む。
「あっ、んっ!」
「気持ちいい?」
「き、気持ちいいです……」
「葵くんって敏感だよね、エロい」
慣れた手つきで服を脱がせて先走りでぐちゅぐちゅになった下着だけになると、巧さんは俺をまじまじと見る
「もう跡消えてるね」
「……巧さんが、呼んでくれないから」
そう、あんなに酷かったキスマークやら噛み跡は綺麗さっぱり消えていた。
「今度は消えないうちに呼ぶよ」
別に跡をつけられるのが好きなわけじゃない。どちらかといえば困るけど、俺の口から出たのはそうしてくださいの一言だった。
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