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第35話
「このまま着ていくから、これ着けようと思って。エロいこと期待させてごめんね?」
「き、期待なんかしてません!」
クスクス笑う巧さんの手には、ガーターベルトのようなものが握られていた。
なにそれ……? 俺の困惑を感じた巧さんが説明をしてくれる。
「これはシャツガーターだよ。シャツの裾が出ないようにする為につけようね」
「そうなんですね! ……ん? でも巧さん着けてないですよね?」
「俺、結構めんどくさがり屋だから。でもこれ着けると着けないとじゃ全然違うから葵くんは着けようね」
「えっ、だったら俺もつけなくていいで……」
「だーめ。ほら、はやく脱いだ脱いだ」
悔い気味に断られ、はやく脱げと急かされる。
慌ててスラックスの前を寛げようとするが、何も巧さんの前で着替えなくても、と気付いた。
「巧さん、自分で着けますからっ……」
「何恥ずかしがってるの? 着け方間違えるといけないから俺が着けるよ」
にこりと笑う巧さんにこれ以上なにも言えなくなる。
笑った顔もかっこいいなんて、ズルいな。
「ほら、早く脱いで?」
「はい……」
ゆっくりとスラックスを脱ぐ。
普段下着の中だって見られてるのに、こんなに明るい試着室で見られていると思うだけで、羞恥心から自身がゆるく勃っていた。
外に店員さんだって控えてるのに、俺のバカ! ナニ勃たせてるんだよ!
「葵くん、エッチなことはしないって。期待してるみたいだけど」
「ち、違います! これは、その……」
少し反応してるものを見て巧さんがニヤニヤしながら言う。
俺は上手い言い訳が見つからずに言葉に詰まってしまった。
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