「店長！　俺もっと初回に着きたいです！！」 　出勤したらすぐ店長に頼みにいった。 　これまではヘルプ指名があちこちで入っていると、初回が来てもヘルプ指名の方を優先して着いていた。もちろんそんなんじゃ稼げない。 　これから俺はお金を返して、巧さんに意識してもらうところから始めないといけないし、売れっ子ホスト目指して頑張るぞ！　……遅いとか言わないで！！ 「いいよいいよ〜もっとガツガツいこ〜！　渚抜かそうね〜」 「そ、それは無理かも……」 　ナンバーワンの渚さんは、売り上げも指名数をダントツでナンバーワンだ。 　そりゃ俺も渚さんみたいなホストになりたいと思うけど、今は無理です店長！！ 　出勤する前には、今まで来店してくれた事がある姫達に連絡をした。 　来なくなってからしばらく経つ人も居たから未読や既読スルーの人もいたけれど、懐かしがって返事をしてくれた人も居て、その中の一人が今日飲みにいくわ！　と言ってくれたので小さくガッツポーズをする。 　 　でも、その中でもただ一人、連絡が出来なかった姫が居た。 　バースデーでタワーをしてくれた華恋(かれん)ちゃん。この子には、巧さんに借金を肩代わりしてもらってからは連絡していない。 　今、何をやってるんだろうな……。 　相変わらず未読のままのメッセージを見ると、複雑な気分になった。