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第56話

 巧さんから電話があった日から数日経ったけれど、その間、連絡はゼロ。  ま、まじかぁ……!  事前に連絡を貰ったし、ゴタゴタしてて大変なんだろうけどやっぱり寂しいものは寂しい。  最近はついつい巧さんとのやり取りを見返してしまう。こんなことなら巧さんの写真とか撮っておくんだった。いや、いきなり俺から写真撮らせてください! って言ってもなんで? ってなるよな……。  俺からは連絡出来ない。忙しいだろうし、無視されたら立ち直れないかも……!  はぁ……、はやく巧さんから連絡来ると良いなぁ。 「蒼くん、さっきの初回のお客様から場内貰ったよ」  内勤さんに声を掛けられて慌ててスマートフォンから目を離す。 「すぐ行きます!」 「はいはーい。蒼くん、最近頑張ってるね」 「はい! えへへ、ありがとうございます」  お金を稼ぐと決意してから、バンバン初回について場内指名や送り指名をもらう事が少しずつだけど増えてきた。  昔来てくれていた姫もポツポツと来てくれたりもする。姫に「いやー、久しぶりに蒼の所来たけど何か実家のような安心感あるわ」と言われた。いや俺ホストだけど! ホストクラブで実家のような安心感ってなに!? ほめ言葉なの?! とツッコミまくったが……。  正直仕事をしていた方が気が紛れるのでこうして指名が入るのはありがたかった。

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