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第57話

 仕事を終えて、スマートフォンを確認するけれど、やっぱり巧さんから連絡はきていなかった。  場内を入れてくれた姫にお礼のメッセージを送り、そのほかの未読メッセージたちに返事をしながら帰路に着く。  寂しい、連絡が欲しい……やっぱり会いたいなぁ。  ここ最近は、一週間に最低一回巧さんと会っていたから、もしかしたら会えないこの状況が辛すぎる。  顔も知らない人に、巧さんのまわりうろちょろすんじゃねー! と叱りたくなる。いや、相手がガチガチのヤクザ相手だったら俺がどつき回されて終わる。終了。怖い。  やる事ないしさっさと寝ようと思い、シャワーを浴びてシーツに潜る。だけど中々眠気が襲ってこなかった。  それどころか、何故かムラムラしてきた。今まで性欲薄い方だったのに……。  朝起きて夢精しているのも嫌だし、仕方なく寝巻きのズボンに手を入れる。  緩く勃っているそれを優しく掌で包み込んで上下に動かした。 「…………んっ」  ……なんか違う。気持ちいいけど、コレじゃない感が……?  巧さんはいつもどうしてくれるっけ。  キスされて、そのキスが気持ちいいから俺はもう頭がぽーっとしてきちゃう。  乳首もいじめられて、舐めたり吸われたり噛まれたり、きゅって摘まれたり……。扱いていない方の手を、自分の胸に寄せる。  乳輪のまわりをくるくると摩ってから胸の尖りをきゅっと摘んだ。 「……うーん」  やっぱり、自分で触っても巧さんとセックスするときのように興奮はしない。  オナニーも満足に一人で出来ないなんて、嘘でしょ……?!  もう一度自分の性器を擦ってみる。気持ちいいけど、射精するには程遠い。  ……もっと後ろを自分で弄るには、ちょっと勇気が足りなかった。  だって元々そこ使ってなかったし! 巧さん専用の場所だし! 自分で触って気持ちよくなっても、指だけで満足できる気がしない。  あーあ、それなのに巧さんは俺のこと放置しちゃうんだから、ひどい人だ。  スマートフォンを探してカメラを起動させる。  インカメラにすると、今にも泣きそうな、真っ赤な顔をしてベッドに横たわる自分が写った。  シャツの裾を咥えて、上半身だけ写るように写真を撮った。    連絡しない方が良いのはわかっているし、さっきまでは連絡するつもりなんかなかった。  けど寂しい。巧さんにあちこち開発されたせいでオナニーも満足に出来ないし。  ええーい! さっき撮ったばかりの写真を、巧さんに送信した。

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