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第61話 ※桐藤巧視点

「流石アニキ……! でも俺らが通報するの怪しくないですか?」 「そこは大丈夫、知り合いがいるから。とりあえずこれは俺の独断だから、外部から雇った人間につけさせる。松平が出てくるタイミングがわからない以上、いつ終わるかもわからないけど……」 「了解っス。やる事ありますか?」 「いいや、今は大丈夫。もしバレた時はよろしく」 「うす! シラ切ってタイミング見て助けにいきます」  まあ勘太なら上手くやってくれるだろう。こいつは中々の世渡り上手だ。  問題は松平が出てくる方が早いか、葵くんにちょっかいかける方が早いか……。  葵くんに手を出されたらと考えると、はらわたが煮えくり変える。 「……アニキ、顔が超怖いっス」 「まあ、ちょっとね。今回は許さない」  本当は、俺直々に制裁したい。  葵くんを侮辱した言葉を吐いたことも、軽んじた発言をしたことも心の底から後悔させてやりたいのに。 「……こういう時は、組織って面倒だよね」  小さく呟いた言葉は、勘太の耳にも届くことなく消えて行った。  その後も、やり場のない怒りと、葵くんを勝手に窮地に追い込んだ罪悪感を殺しながら携帯を見つめる。  葵くんが無事に家についたのを確認すると、護衛を頼んでいた奴からも報告の連絡が来た。  少し経ってから葵くんに電話を掛ける。  しばらく会えない事を伝えると、電話越しの葵くんは戸惑っていた。  それでも俺の心配をしてくれる辺り本当に優しいし、可愛い。話す度、会う度に葵くんへの思いが強くなる。  今どんな顔をしているのか今すぐ見に行きたくなった。   監視カメラでも付けたい所だが、もしバレたらドン引きされるかな?  ……葵くんが寝ている間こっそり仕込んだGPSは、俺の中でギリギリセーフだ。

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