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第65話
巧さんの言葉で、のろのろと下着のゴムに手を掛ける。ゆっくりと下げていくとぷるん、と中心の熱が晒された。
『なんか逆にエロいよね。そんなにゆっくり脱がれると』
「うぅ……、恥ずかし……」
シーツを手繰り寄せて下半身を隠すけれど、すぐに巧さんから『駄目だよ、ちゃんと見せて』と言われたので渋々シーツを元の位置に戻す。
『えらいえらい。ほら、手添えて』
「んっ……」
こくんと頷いて、性器に触れると自身の熱さにびっくりしてしまう。
巧さんに見られているだけで、こんなにも興奮しちゃうなんて、どうなってるの、俺の身体。
「巧さん……っ、」
スマートフォンの画面を見ると巧さんがこちらをじっと見つめていた。
その眼差しで、俺の身体はじりじりと欲に溺れていく。
『葵くんは、先っぽグリグリされるの好きだよね。親指で鈴口のところ擦ってごらん』
「は、い……、ふっ…………、ぁ……」
言われた通りにぐりぐりと擦ると、快感でペニスが震える。弄っているところからぷく、と新しい透明の液が、絶え間なく溢れ出てくる。
巧さんと俺の手は全然違うのに、今は巧さんの手で犯されてるんじゃないかなんて、錯覚してしまう。
「んんっ」
『気持ち良いね、葵くん』
上下に擦る手が、段々と大胆になる。
ぐちぐちといやらしい音が部屋に響いて、恥ずかしいのに気持ちいい。
巧さんの目が、獲物を捕らえるようにギラギラしていているから、お腹が疼く。
「たくみさ……、んっ……、も、いきたい……っ」
手を動かすスピードを速める。さっきは全然イけなかったのに、今は出したくてしょうがない。
『イきそう? 葵くんの顔が見たいな』
スマートフォンの位置を変えると、巧さんの画面に表示されているだろうふにゃふにゃになった俺の顔が、小さく画面上部に表示されている。
「ん……っ、はずかしぃ……」
『そう? こんな……、見られて気持ち良いって顔してるのに?』
「してな……っ、いじわる、言わないでください」
『だってこんなに気持ち良いって顔してるのに葵くんが恥ずかしがるから、ついつい。イっていいよ、葵くん』
「…………っ!」
手の中にあるペニスがビクン、と震える。掌に白濁の液が勢いよく飛び散った。
『上手にイけました』
肩で息をする俺を見て、いいこいいこと巧さんが話しかけてくる。
ティッシュを取り、手を拭った。熱に浮かされていた頭がだんだんとクリアになってくる。
「……賢者タイムが半端ないです」
『あはは、葵くんの目が死んでる』
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