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第87話

 巧さんの顔が近づいてきて、唇が重なる。  巧さんも俺のことを好きって思ってくれている……そう思うと、触れるだけのキスが心を暖かくさせた。 「……信じられないな」  小さく呟く巧さんの唇に、自分からまたくちづけをする。 「俺もです。起きたら夢だったとか言わないでくださいね……」 「葵くんこそ。そんなことされたら、俺、ショックで死ぬかもしれないから」 「ふふ、それは大変ですね」 「でしょ? だから嘘でしたとかやめてね」 「言うわけないですよ。巧さんが死んじゃわないように、ずっと言い続けます……」 「嬉しいな……、葵くんかっこいい」  目を合わせて笑いあう。  巧さんに上唇を食まれ、薄く口を開けると、巧さんのあつい舌が口腔に侵入してくる。ぬるついた舌を絡めて、甘噛みをされると背骨から甘い痺れが走った。  歯列をなぞられ、上顎を舌で辿られると、声が我慢出来なくなってしまう。 「ふっ……、んん……」  唇を合わせたまま抱き上げられて、ベッドに下されるとシーツから微かに巧さんの匂いがした。  ここが巧さんの部屋なんだと思うと、また心臓が早鐘を打つ。 「葵くん、好き……」  蕩けるような甘い声で言われて、脳が痺れた。   「ふ……っ、たくみさん……俺もすき……」  水音を立てながら夢中でキスをしながら、お互いの服を脱がし一糸纏わぬ姿になる。  俺も、巧さんのも、キスしただけなのに痛いぐらい張り詰めていた。 「俺の葵くん……全部かわいいな……」  唇から耳へ、胸の突起から脇腹へと巧さんの唇を落とす場所がだんだんと下がっていき、とうとうペニスに触れた。 「ちょっ! 巧さん?!」 「なに?」  そんなところで喋らないで……! と言う暇もなく、興奮しきったそこに唇を落とされる。その刺激で鈴口からとろとろと液体が溢れ出た。 「ほら、気持ちよさそうだよ」  鈴口に舌をねじ込むみたいに舐められる。じゅる、という水音が部屋に響いて、居た堪れない……! 「あっ、んんっ……、そこだめ……っ!」  亀頭をパクリと咥えられて、舌で雁首をぐるりと舐められる。巧さんが俺の下肢に顔を埋めている衝撃も、自身を刺激されるのが全て快感になって全身を震わせる。だめ、もういきそう、……さすがに早すぎる。 「うう……、あっ……、はなして、んっ……たくみさ、」 「こんなに気持ち良さそうなのに?」  「たくみさん、おねがい……」 「葵くんにおねがいって言われたら、なんでも聞いちゃいそうになるよ。そのかわり、四つん這いになって」 「は、はい……」  とりあえず巧さんの口の中に射精するのは免れた……!   気持ちよくてふわふわする頭で、巧さんの言う通りに四つん這いになった。

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