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第89話

 巧さんの舌から解放される頃には、もう息も絶え絶えだった。恥ずかしくて死ぬかと思った……!  仰向けにコロンと転がされると、笑顔の巧さんが視界に入る。 「葵くん、かわいい」  おでこにキスをされる。  それだけで胸がきゅうと締め付けられた。巧さん、大好き……俺も、ほっぺにキスをした。 「巧さん、挿れて……」 「そんな煽らないでよ、我慢出来なくなっちゃうから」  我慢なんてしなくていい。はやく巧さんを感じたいのに、巧さんの骨張った指がゆっくりとなかに入ってきた。 「んっ……」  さぐるように動いていた指が、しこりを見つけた途端そこをぐっと押してくる。 「あっ……!」 「気持ち良い?」 「んっ、きもちいい……っ」  ぐっと潰すように押されて、背骨から痺れるような快感が襲ってくる。  いつのまにか増えていた指でぐちぐちとなかを掻き回された。 「たくみさ……っ、あっ……、すきっ」 「俺も好きだよ、葵くん」  嬉しい、巧さんが俺のこと好きって言ってくれるのが。泣きたいぐらい幸せなのに、うまく言葉で表せないのがもどかしい。 「葵くん、ほんとかわいいね。好きって言われると、ここがもっと、って俺のこと求めてくる。ね、挿れていい?」 「んっ、言わないで……あっ、挿れてください……」  指が引き抜かれて、先端が押し付けられた。緩んだそこは、すんなりと巧さんのものを飲み込んでしまう。  あつい、くるしい、けど、ぴったりと巧さんのものがはまっているこの感覚がたまらなく気持ちいい。 「葵くん、愛してるよ」

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