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第90話

 その言葉で、頭が真っ白になる。嬉しい、好き、俺も……! 「……ねえ、今のでイっちゃった? 葵くんのなかがきゅうきゅう締め付けてくる」 「あっ……い、いわないで……!」  だってそんなこと言われたら、身体も反応してしまう! 自分でも気付かないうちに、心も身体も全部巧さんに明け渡していた。  巧さんの言葉一つで、俺の身体は簡単に変えられてしまうし、巧さんの行動一つで胸が締め付けられる。  快楽の波が全然収まってくれなくて、息がうまく出来ない。口を開閉させていると、ゆっくりと巧さんの顔が近付いてきて、触れるだけのキスをした。 「葵くん、大丈夫?」  目を覗き込まれて問われる。巧さんのその表情に、どうしよもない多幸感で包まれる。  頭がふわふわする。全身が性感帯になったみたいに気持ちいい。 「んっ……たくみさ……っ、もう離れないで……」  今度は自分から巧さんにくちづけした。 「うん、もう離れない」  離してあげない、なんて聞こえたのは気のせいだろうか。  巧さんが腰を深く打ちつけて、自分のあられもない声が洩れる。 「あっ、ああ……っ!」 「かわいい、俺だけの葵……っ」  何度も奥を突き上げられて、そこから熱が全身に広がっていく。気持ちいい、もっとして… …。  離さないように、離れていかないように、首筋に回した腕になんとか力を込める。   「んっ、たくみさん、すき……っ! あっ……」 「俺も葵のこと好きだよ、愛してる……」  こんなときに、普段と違う呼び方をするのはずるい。気持ちよすぎて、巧さんのことが好きすぎて、全身とろけちゃいそう。 「ふっ……、あんっ、も、だめえ……っ」  お腹がビクビクと動き、強い快感に襲われる。頭がふわふわして力が入らない。  首筋に回していた腕がするりと解けると、今度は巧さんが強く手を握ってくれた。  やばい、今めちゃくちゃ幸せ……。  ふわふわした頭と、全身に甘い痺れが走るような身体で、なかに入っている巧さんのものが痙攣したあと熱を感じた。

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