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第6話 我慢の限界秘書

 自分が社長である田中幸久に出会ったのは、小学生の時であった。  父親同士が友人であり、何かのパーティの様な場所で紹介されたのが初めてであった。  幼い頃の幸久は女の子かと見まごう可愛さで、人見知りが激しく、熊のぬいぐるみを抱きしめていた。 「はじめまして」  そう挨拶し、手を差し出すと恥ずかしげに握手してくれた。 「は、はじめまして。仲良くしてね」  幸久は照れた顔でそう言うと、微かに笑って見せた。  男の子に思う感情ではないと幼心に思ったが、可愛いなぁと思った。  それからは、よくお互いの家に遊びに行ったりするようになり、親友と言っても過言では無い関係になっていった。  幸久は可愛い見た目から、自社の子供服のモデル等をしたりしていた。  本当に可愛かったのだ。  俺は幸久が危険な目に合ってはいけないと、ボディーガードが出来る様に体術等を習ったりした。  だが幸久は人が良いと言うか、天然と言うか、他人を疑わない性格が災いし、知らぬ間に男同士のAV、ゲイビと言えば良いのだろうか? ソレに出演する様になっていた。きっと騙されてそのまま出る様になったのだろうが、そのゲイビを見つけてしまった時の感情と言ったら無かった。  関係者を全員抹殺してやりたかった。  激情を覚えつつも、内容に興奮し、そのゲイビで何度も抜いてしまう自分にも嫌気が差した。  そのゲイビは勿論幸久には内緒にしている。  自分に知られていると幸久が解るとショックを受けそうであるし、気不味さから避けられると思ったのである。  幸久はいつの間にか男性とそう言う事をする様になっていた。  父親の会社を継ぎ、社長になってからは頻度は減ったが、ストレスが溜まると男遊びに出かけてしまう。  それとなく注意はするし、幸久は反省して暫くは我慢する様だが、やはり暫くすると出かけてしまう。  俺は心配で堪らないのだ。  幸久は女性と付き合った事も有るし、社長である。いずれ女性と結婚して子供を産む気も有りそうだ。   男性と寝るのはあくまで趣味であり、遊びのようである。  大人しい子がスリルを楽しむ火遊びにハマってしまったような感覚なのだろう。  男と寝たいのならいつでも自分が相手になると言っても相手させてくれないのは、自分とではスリルが楽しめないのだろうか。   ゲイバーのオネェママとは遊ぶ癖に……  俺だって求められたら過激な遊びにだって付き合ってあげるのに。  幸久が求めるなら鞭打ちだって、緊縛だって監禁だって……  取り敢えずなんだってしてあげるのに。    何故他所の見知らぬ男ばかり相手にして、見知らぬ男にキスマークなんて付けられて帰ってくるんだ。  俺はもう我慢の限界であった。

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