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第8話

 自宅に橋田くんと幸久を招き入れ、酒を用意する。 「橋田さんは何がお好きですか?」 「僕は、幸久さんの様なガッチリ系も好きですが、貴史さんの様な美人系も好きですよ」 「いえ、酒の種類を聞いています」  誰が男の好みを聞いていると思うか! 「俺はガンガン突いてくれる橋田くん好きだぞ」  幸久は酔いすぎだ。心配になってきた。あんな短時間で何故こんなに酔っているんだ。  橋田くんに絡んでいる。 「ちょっと、酒を呑むだけですよ!」  今にもおっぱじめてしまいそうで怖い。  あまり酔わせても不味いことになりそうなので、缶ビールをグラスについで出すことにした。 「貴史、俺の何か味がしないぞ?」 「幸久さんのは水ですよ」 「えー、飲み直すって言ってた」 「貴方はもう出来上がってるじゃないですか」  直すも何も無い。 「橋田さんも申し訳ないですが、社長と子会社の社員がセフレなんて大問題です。これ以上、二人で会うのは控えて頂きたいと……」 「三人なら良いんですか?」 「駄目です。四人でも五人でも駄目です!」  人数の問題ではない。なお悪いわ。 「あー、幸久さんと貴史さんは恋人同士なんですね!」 「いえ、違います」 「じゃあ別に関係無いじゃないですか。幸久さんが何処で誰とセックスしようと、貴史さんには関係ありませんよね? 私生活まで管理するのはどうかと思いますよ?」 「それは……」  確かにそうなのだが…… 「幸久さんも貴史さんに管理されるの嫌ですよね? 重いと思っているんでしょ?」  肩を寄せる幸久を抱き寄せ、クスリと笑う橋田くん。  幸久が頷くのが怖くて、耳を塞いで目を閉じてしまった。  何か返事をしたのだろうが、解らなかった。 「もう良いです。好きにしてください!」  ヤケクソになり、リビングを離れて寝室に閉じこもる。  二人はセックスするのだろうか。  嫌だ。何で俺が居るのに他の男とセックスばっかり!  そんなにセックスが好きなのか。  セックスが好きなのは百歩譲って良いとして、何で俺とはしてくれないのに!!  何だか悲しくて虚しくなってきた。  明日の朝は接待ゴルフで早く起きなきゃいけないのに。  もう幸久なんて知らない!!  半ば不貞腐れてベッドに潜る。  幸久の喘ぎ声が聞こえ出来たらどうしよう。怖くなって、布団を頭から被った。

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