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第9話 腐男子平社員
久しぶりにママのバーを訪れていた時、後から入ってきた客に見覚えがあった。
自分が務める会社の本社の方の社長さんだ。
何故知っているかと言えば年に数回の会議に顔を出す程度の事である。恐らく本社でもあまり知られていないのではないかと思う、レア度の高さで有名だ。
そんなレア社長とこんなゲイバーで出会う等、幻の生き物との遭遇ぐらいのレア度の高さだ。
運命を感じずにはいられなかった。
僕は所謂、腐男子である。
社内でもカップリング等して楽しんだりしちゃうタイプだ。
この社長さんはイケメンで体格もガッチリした高身長。彼を知っている女性社員は皆狙っているのではないかと思うほどの容姿である。兎に角、男前だ。
良い歳だと言うのになかなか結婚の話が出ない等とウチの会社の御偉いさんも心配していたが、そうか、ゲイだったのか。じゃあ仕方ない。
いつも隣に美人な秘書を置いているが、彼と出来ているのだろうか。
秘書さんの方とは接待ゴルフ等でも何度か顔を合わせたのだが、ちゃんと話した事は無い。名刺交換をした程度だけど。
めちゃくちゃ推しカプだ。
勿論、僕は社長さん×秘書さんだが、実際はどうなのだろう。
年に数回行く本社での会議の楽しみなのだ。イケメン社長と美人秘書さんを見て妄想するのがだ。
気付かれない様に見つめていたら、向こうも見つめて来ている事に気づいた。
思い切って声を掛けてみると、何とウケであると言うじゃないか。
と、言う事は美人秘書さん×イケメン社長だったのか!
いや、どうも美人秘書さん×イケメンビッチ社長だったらしい。
唐突に始まる冴えない社員(僕)×イケメンビッチ社長。
三角関係悪くない! 寧ろ美味しい。
憧れの社長にくわえ、美人秘書さんと三Pなんて出来たら最高だなぁ。
なんて妄想が滾り、ルンルンしていた。
翌日の会議でも、美人秘書さんと社長さんは異常な近さで話ていて更に妄想が滾った上に、会議の後こっそり隣の会議室に入って行くのが見え、僕の妄想は爆発してしまった。
美人秘書さん×イケメンビッチ社長最高である。
そこに冴えない平社員(僕)混ざりたいであった。
そして今夜である。
元々知らせてあった連絡先から幸久さんから休みの確認メールが届いていた。
一般の企業と一緒で、基本的には土日休みであると伝えると、金曜日にママのバーでと連絡が有ったのである。
ワクワクし、当日。
急遽、秘書と呑むことになりキャンセルしたいと届いた。
若干残念にも思ったが、秘書さん×社長さんも推しである僕はそれはそれで美味しいので結果オーライであった。
だがものの30分たたず内に幸久さんから再びメールが入った。
やっぱり、君とセックスしたい。会いたいと。
一体、秘書さんと何が会ったんだと、急いで向かった。
そこには秘書さんと社長さんが居た。
僕は思った。
念願の3Pだ! と。
結果どうやら違った様で有るが、秘書さんの家に誘われ、ウハウハであった。
そして今に至る。
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