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第13話 社長はゴルフ頑張ってみる

 シャワールームを出て行く貴史を見送った俺は、頭を冷やす為にも下半身を冷やす為にもシャワーの温度を下げた。  とうとうやらかしてしまった。  貴史に襲いかかった上に襲ってしまった。  いくら酔っていたと言ってもだ。あんなの酔ったいた内にも入らないが……  どうしよう。軽蔑されてしまったかもしれない。  いや、そもそも軽蔑されていたとは思うが、もう呆れられてこんな社長の側には居られないと他所に行かれてしまうかも知れない。貴史は有能だから引く手数多だ。  貴史に側を離れられたら多分、俺、何も出来ないぞ。  いや、仕事面だけじゃない。  貴史が側に居てくれる事で安心出来る。  貴史は俺の精神安定剤の様なものだ。  俺はなんて取り返しの付かない事をしてしまったのだろう。  貴史はどう思ってるのだろうか。  俺への対応は普段と変わらない様子であった。  普通に全裸を晒してくるものだからどうしようかと思ってしまったぐらいだ。  だって貴史の体、凄い綺麗なんだ。  目のやり場に困る。  鍛えられ、均等の取れた筋肉は細すぎず付きすぎず、絶妙なバランスである。肌はきめ細やかで透き通る様。陰茎だって、上品で……  貴史、可愛いなぁ。  昨夜だって、あんなにアンアン喘でくれて、貴史ってあんな声で、あんな顔で……  エッチ過ぎる!!  貴史、エッチ過ぎるぞ!!  何なんだ貴史は!  美人な上に強くて仕事も完璧で女性に人気で、気品に溢れているのに、ベッドでは顔を真っ赤にしてアンアン可愛く喘いで沢山イキまくっちゃうなんて!  奇跡の生き物か!! 「幸久さーん」  「ふぁい!! ごめんなさーーい!!」  急に名前を呼ばれて驚いてしまった。 「いい加減に出て下さい、風邪ひきますよ」  どうやらシャワーが長くなってしまい、心配された様だ。  貴史も長かった癖に。 「解った。今出るよ」 「バスタオルです」  シャワーを止めるとバスタオルを手渡しされた。 「着替えはここに置いておきますからね、洗面所に歯ブラシ置いておいたので使って下さい」  貴史はテキパキと何時もの様に俺の世話を焼いてくれる。優しい。  俺バスタオルで体を拭くと、言われた通りに出て着替える。  ゴルフ用のウェアだ。  以前意したものだが、着る事も無く処分してくれと言ったのだが、取っておいてくれたらしい。 「あぁ、良かった。サイズ大丈夫でしたね。うん、似合います」 「君が選んでくれたやつだからな。間違いは無いだろう」  貴史はセンスも抜群だ。  貴史も既に着替えを済ませており、スタイリッシュに身なりを整えている。  これが昨夜、あんなに乱れていたのかと思うと、下半身が反応しそうになり、頭を振って考えを散らした。  もう駄目だ。  貴史は歩く十八禁だ。 「お褒めに預かり光栄ですよ。朝食を作りましたので座って軽く済ませて下さい。あ、ほら、髪もちゃんと乾かしてくださいよ」  ソファに座ると、サラダとトーストが出てくる。貴史は髪が気になるらしく、ドライヤーで乾かしてくれながら、髪型を整えてくれた。 「橋田さんはシャワー大丈夫だったんでしょうか? 朝食はちゃんと食べたんですか?」  そう橋田くんを心配する貴史。 「橋田くんは家に一旦帰ってシャワーしてから行くと言っていたぞ」 「時間は大丈夫でしたか?」 「余裕を持って出ていたから安心しろ」 「ん? ちょっと待って下さい。もしかしてお二人は寝ていないのでは?」 「仮眠程度には寝たぞ」 「えっ!? 大丈夫なんですか!?」 「平気だ」  橋田くんには悪かったが、彼も元気だと言っていたし、大丈夫だろう。  橋田くんはああ見えて体力の化け物らしい。  一番激しく動いていたと言うのに、一番元気であった。  寝てしまったと言うよりは気絶してしまった貴史の体を拭く役目を何方がするかで少し喧嘩になってしまったぐらいだ。  何とか俺が勝ち取ったが。  ゴルフの事を思い出して相談し、行って貰ったのはその直ぐ後である。   橋田くんは寝てないかもな…… 「全く、橋田さんはともかく、貴方は歳も考えて少しは自重してくださいよ」 「すまん…… えっと、昨夜はその……うう……」  なんて言えば良いのだろう。  ぶっちゃけ了承も得ていないのに行為に及んでしまった。レイプみたいなものだった。いや、紛れもなくあれはレイプだった。  犯罪行為だ。 「警察に行こうかなぁ……」  自首しなきゃ! 「物騒ですね。何かやらかしたんですか?」  首を傾げる貴史。いや、君をレイプしたんだ。 「その、だって君を無理矢理……」 「無理矢理でしたか? 私、良かったですよ。と、言っても酔っていたのであまり覚えていないんですけど…… でも、予定がある日は止めて欲しいですね」 「えっ!? 予定が無い日ならまた付き合ってくれるのか!?」  あっさりとした顔で言ってくれる貴史。もしかしてと、ちょっと期待してしまう。 「ええ、て言うか、誘ってたのは私の方でしたしね。テクも無ければモノも小さくてお相手には不足でしたよね……」  貴史は、ハハっと苦笑して見せる。 「そんな事ない、凄く良かった! またしような!」  俺のテンションはMAXバク上がりだ。 「そうですね。また橋田さんも誘って3人でしましょう」 「うん、3人でしょう!」  良かった。呆れられて無かった。愛想も尽かされて無かった。  そうホッと胸を撫で下ろすとととに、また次も有るんだと興奮してしまう。   本当に?  また次!?  また次も有るの!?  俺、貴史と!? いいの!? してくれるの!?    面倒くさくない? 「はい、整いましたよ」 「え、あ、有難う」  髪が、綺麗になったらしい。 「ちょっと皿を洗って来ますから、新聞でも読んでて下さい」  貴史は新聞を置くと、皿を片付けてくれる。  いつも思うが、嫁さんを持つ気になれないのは既に側に完璧な嫁さんが居るからだと思うのだ。  早く嫁さん貰って安心させて下さいとか言うが、殆ど君のせいだぞ貴史!  新聞は読まず、貴史の皿を洗ってる後ろ姿をずっと眺めてしまう俺であった。

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