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第14話
ゆくっくり家を出たが、開始時間には間に合った。
遅刻しても構わないと言ったのだが、貴史は頑として間に合わせたい様で、法定速度を守った上で良い道を選択し、ちゃんと間に合わせていた。
「遅くなって申し訳ありませんでした」
「いやぁ、遅くなると聞いていたからね。幸久が迷惑をかけてしまってすまない。所で幸久がゴルフをするとはパパ初めて聞いたけど、本当に出来るのかい?」
「最近興味を持った様です」
笑顔で出迎えてくれる親父。パパ言うのは止めて欲しい。
あと、貴史に馴れ馴れしくするな。
「幸久とゴルフ出来るなんてパパは嬉しいよ〜 出来なくても教えるからね!」
「間に合ってますので、大丈夫です」
抱きついて来ようとする父親を交わす。
「会長、そろそろ開始時間ですし始めましょうか」
そう親父の付き人らしい人が誘う。
数人とコースを回る様だ。
どうしよう。ゴルフ全然出来ないんだが……
緊張してきた。
現役の社長が来たと、めっちゃ視線を集めてしまっている。
その社長が穴開けるわ空振りしまくるわ全くゲームが進まないなんて状況にしたら最悪である。
「良いですか社長」
ソコっと俺に耳打ちをするのは貴史。
「ん?」
「兎に角飛ばそうとは思わないで、玉を転がして進めましょう。私が付き合いますので、空振りが一番悪いですし、貴方飛んだら飛んだで凄く飛ばしますけど見当違いでとんでも無い所に飛んでしまいますから。それは飛ばないのと同じです」
そう、忠告され、コクコク頷く俺。
「あ、橋田さん。すみませんでしたね。これ、朝ごはんの代わりに食べてください」
貴史は橋田くんを見つけ、声をかける。
「わぁ、サンドイッチですね。こっちはスープですか? 有難うございます」
片手で簡単に食べられる様に作って持って来たらしい。流石、貴史。気が利く。
「そういえば、橋田くんと貴史はいつの間に仲良くなったんだい?」
親父が気付いて貴史に声をかけた。
だから馴れ馴れしく呼ぶな。名字で呼べよ。俺の秘書だぞ。
「何でしたかね?」
「あー、あれですよ。好みが似てるとか、そんな感じでしたかね」
これと言って共通点も無く、本当の事を言う訳にも行かないので困っている。助け舟を出したいが、俺も何と言えば良いか解らない。
「なるほど、歳が近いからね。話が合うのも解るよ」
アハハと笑う親父。上手く誤魔化せた様で良かった。
橋田くんは貴史のサンドイッチとスープを食べ、お礼を言っている。貴史の手料理は美味しいからな。
そして、いよいよプレイである。
貴史が貸してくれたクラブを握る。
駄目だ。失敗しそう。怖い。
手が震える。
「幸久さん」
いつの間に側に橋田くん来ていて、耳打ちしてくる。
「ん?」
耳を傾けた。
「ここは幸久さんの得意な事に置き換えるんです。セックスを想像してみてください。手数を打って愛撫し、確実に穴を狙うのも良いですが、それだと他の人に先を越されてしまうかも知れません。あの穴が貴史さんの処女アナルだと思ってみてください。先を越されたくは無いでしょ? 優しく、かつ大胆に打って行きましょう!」
な、な、な……
貴史の処女アナル!?
貴史に思わず視線を向けてしまう。何か親父と話している様子だ。コースの攻略法等を相談しているのかもしれない。
腰に手なんて回しやがって!!
クソ!!
「社長!!」
ボールを打とうとしたが、やってしまった。めちゃくちゃ穴を掘ったし、ボールも飛ばなかった。これは空振りである。
「もう、だから転がして下さいと言ったでしょう!」
耳元で小声で怒る貴史。だって、だって橋田くんが貴史の処女アナルだなんて言うから……
思わず力が入りすぎた。
「まぁ、たまにやっちゃうよね〜。私もやっちゃうよ〜」
親父が笑いながらフォローしてくれている。余計情けなくなるから止めてくれ。
「もう、社長ったら。セックスだって言ったじゃないですか。イキナリそんな乱暴しちゃ駄目ですよ。クラブもコースも貴史さんの体です。アナルに入れるだけじゃないでしょ? 優しくかつ、繊細に扱った上で激しくしなきゃ駄目ですよ〜」
そう橋田くんが耳元で更に囁く。
そ、そうか。俺は貴史の体に何てことを!!
皆、リードしちゃってる。
このままだと一番最初に貴史のアナル処女を奪うのは親父になってしまうーー。
「社長、落ち着いて打って行きましょう。橋田さんに何を吹き込まれてるか解りませんが、冷静に。転がして下さい」
俺の番になり、貴史が肩を叩いてくれる。
俺の頭の中で貴史と橋田くんが天使と悪魔の様に交互に囁いてくる。
俺は橋田くんを見た。
うん。
貴史の処女アナルは誰にも渡せない。
「社長、玉をよく見ていください。昨夜の様に」
そう、口パクされた。
昨夜の様に。思わず赤面してしまう。
頷き、玉を良く見る。
優しく、かつ的確に。ぶっ飛ばす!!
貴史の処女アナルは俺のものだ!!
打った玉は、綺麗に半円を描いた。
「えっ、社長!!」
驚く貴史。
玉は真っ直ぐ飛び、グリーンに乗った。
「凄い、ナイスショットです!」
「おお、やるなぁ幸久」
「ナイスショットです社長」
貴史と親父、橋田くんが声を上げ、他の人も手を叩いてくれる。
先ずは一安心である。
でもボールはまだグリーンに乗せただけ、側には他の人も次で乗せてくるだろう。
次で絶対に入れなければ。
「社長、良いですよ。でもここでガッつくと嫌がられます。解りますよね。最後まで正確に優しくかつ、強引にですよ!」
そう、橋田くんがアドバイスしてくれた。
親指を上げる。
解ってるぜ! やってやる。
結果、無事に貴史の処女アナルは俺が頂いた。
だが、初っ端のやらかしが響いて点数的には負けてしまった。
「いやぁ、幸久がこんなにゴルフが上手かったとはパパも知らなかったよ。また一緒に回ろうね」
そう優勝した親父に肩を組まれる。
「いえ、私はまだまだですので練習します」
と、適当に返した。
「社長、今日はどうされたんですか!? すごく上手でしたよ」
貴史が褒めてくれる。
君の処女アナルを狙ってやったとは口が裂けても言えない。
だが無事にゴルフ出来て良かった。
「よーし、これから皆でいつもの温泉に行こう!」
そう親父が言い出す。
いつもの温泉とは??
「接待ゴルフはゴルフが終わった後も大事なんですよ」
そう、貴史に教えられる。
知らなかった。
貴史め、俺の知らない所で親父と温泉に行ってやがったのか!
許せん!
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