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第21話 後悔する社長
目を覚ました俺は飛び起きて辺りを見渡した。
薄暗い部屋の中、自分は布団で寝ていた。はて、どうしたんだったか。
今日は確か、親父達のゴルフ会に参加して、その後、温泉に入って、飲み会に参加して、貴史が潰れて、橋田くんがここで介抱してあげてて……
それでどうしたんだったか。
頭が痛い。
思いの外、自分も呑みすぎてしまった様だ。
だから社員との呑み会は嫌なんだ。
いつもなら貴史が捨てる桶みたいなのを用意してくれて、さり気なく捨てたりもするが、何故か今日は貴史がムキになってしまって捨てる桶も用意してくれなかったから、俺も思いの外呑んでしまった。
と、言うか、二人は何処に行ったんだ?
貴史は寝ていた筈だが。何故、貴史が居なく俺が寝てるだ?
隣にはグチャグチャになった布団……
貴史が寝てた布団がグチャグチャだ。
これは、えっと……
アレの臭いがする……
また酔に任せて貴史を襲ってしまったのだろうか。
確か……
部屋に入って橋田くんが貴史を介抱しているのを見て、貴史は寝ていて、橋田くんが何か訳の解らない事を言って怒ったから雄ぱい揉む?とか聞いてパイズリしたんだ。
完全にやらかしてる。
貴史がダウンして寝ている隣で俺は何をしていたんだ。
何か興奮してしまって…… 酔っていたらだろうか。
過ごく気持ちよくて、寝ている貴史を見ていたらもっと興奮してしまって……
で、寝ている貴史に体重をかけない様によつん這いで押し倒す形を取ったんだ。
もっと良く貴史の顔が見たくて……
綺麗な顔で眠っている貴史の顔を見ながら、背徳感で更に興奮してしまい、橋田くんに後ろから突いてくれと頼んで、貴史の綺麗な寝顔を見ながら橋田くんとアナルセックスを……
おおおおおおお!!!!
俺、最低じゃねぇぇーーかああぁぁ!!!
何やってんだよ俺!!
『幸久さんは貴史さんが大好きなんですね』
『好き!好き!!』
『愛してるんですね』
『うん、大好き!! んぁ、すきぃ!!』
とか、言ってた気がする。
俺は確実に貴史が好きで好き好き言っていた。確かに橋田くんのデカチンで突かれるのも好きで混ざっていたかもしれないけど……
え、俺、貴史の事……
愛してる……
あれ? そんな事、考えた事無かった。
貴史は俺の幼馴染で、確かに初めて会った時は女の子みたいに可愛かったから、女の子だと思ったし、お人形みたいな可愛さだった。天使が居たら多分こんな感じだと思うぐらいに可愛かった。自分も子供の頃は可愛い可愛いとお姫様の様に扱われ、くまのぬいぐるみとか持ち歩いていたが、貴史もなかなかのお姫様だったと思う。
俺は小さい頃、子供服のモデルとかもしていて、一回一緒に撮影するはずだったモデルが遅刻してしまった時に代役で貴史が出た時が有って、ちょっと話題になったっけ。
貴史にオファーの話しが幾度と行った様だけど、貴史が嫌がったのか、両親が反対したのか、あれ一度だけだったけど。
話が脱線したが、兎に角可愛いとは思うが貴史は男だし、自分は跡取りで子供を望まれている。女性と結婚し、その内子供を作らなければならないとも思っている。愛とか恋とか良く解らないし、確かにアナルセックスは大好きだけど、男性が恋愛対象では無いと思っていた。女性に恋した事も無いけど、たまたま理想の女性が居ないだけで、その内、出会う事も有ると思っていた。我ながら夢見がちな所が有り、赤い糸が繋がった女性がきっと何処かに居て、その内出会って恋に落ちるのだと思っている節も有った。
まさか、俺は貴史が好きだったのか。
確かに自慰する時など良く貴史の事を考えてしまう。だが、それは自分の性癖と言うか、セックスは女性とするより男性とする方が好きだからとか、そう言う理由だと思っていた。
え? 俺、貴史が好きだったのか。
どうしよう。まだ良く解らない。
兎に角、俺はあの時貴史が堪らなく欲しくなってしまった。
俺のアナルで気持ちよくなって貰うのも嬉しいが、初めての貴史も欲しくなってしまったのだ。
貴史が女性と付き合っていた事は知っていたし、付き合う女性が変わったり、別れたりしたら報告してくれる。だから童貞はもう駄目だが、男と付き合ったり、男と遊ぶ性癖が有るとも聞いて無いし、そんな匂いを感じた事も無かった。
だから貴史のアナルな無垢だと信じて疑わなかった。
貴史の処女アナルがどうしても欲しいと思ったのだ。女性には使ったが、男性相手ならば俺も童貞であるし、貴史に捧げたかった。
そう考えると貴史の童貞も奪えたな。
兎に角、未開通の貴史のアナルに俺ので開通したかった。
貴史は気付いて無いだろうが、色気が凄いし、本人は段持ちで護身術等も得意で、襲われても大抵はやり返しそうだが、悠長に構えていたら何処かの誰かに奪われてしまいそうで怖かった。
それこそ橋田くんなどは規格外に力強いから襲われたら流石の貴史でも襲われてしまいそうであるし、親父とかに誘われたら流石に断れずに付いていきそうだ。
貴史の処女アナルの事を考えたら今すぐにでも奪わなければいけない様な気がした。
それもこれも橋田くんが耳元で貴史の処女アナルが皆に狙われてるみたいな事を囁かれたからだ。
今までそな事を考えた事無かったのに……
だけど、貴史、初めてじゃなかった。
処女じゃないて……
それで頭が真っ白になって……
貴史に酷い事を……
貴史、怯えてた。
「起きられたんですね」
そう、声がし、振り向く。
ポカポカした様子の貴史。
貴史の後ろには橋田くんが見える。
「内風呂を楽しませて頂きました。タオルで泡が出るんです。知ってました? 手で弾くとお湯がピュピュなって楽しいんです」
頬をピンクに染めた貴史が目の前まで来てて楽しげに話す。
本人は無意識なのだろうが、指先を組んでピュピュとか言うのは、やめてくれ。変な事を考えてしまう。
「すみません。少し長風呂になってしまって貴史さん若干逆上せてしまってますよね」
苦笑する橋田くんがコップに水を入れて貴史に渡した。
「一緒に風呂に?」
俺は橋田くんに問いかける。貴史は受け取った水を飲んでいた。ゴクッと喉仏ご動いているのさえ、なんだかセクシーである。
「ええ、勿論、変な事なんてしてませんよ?」
「お風呂での遊び方を教えて貰ったんです」
「お風呂での遊び方?」
「変な意味じゃないですよ! 普通にタオルで泡を作るとか、水鉄砲のやり方とか、本当に普通の遊びです!」
焦って訂正する橋田くん。そう必死に言われると、逆に怪しいのだが……
「あと、貴史さんのアナルですけどね、処女だそうです」
「えっ?」
さっき処女じゃないって言ってたぞ!
「自分は女性では無いから処女では無いと言っただけだそうです。貴史さんは此方側の人では無いですし、言葉には気を付けてください」
「そ、そう言う事か……」
真顔で説教口調の橋田くんに頷く。
俺は何て誤解をしてしまったんだろか。
誤解で貴史に酷い事を……
「貴史、すまない! 俺……」
視線を貴史に戻す。
貴史は、既に床でスヤスヤ眠ってしまっていた。
「お疲れだったんですね」
橋田くんはフフッと苦笑した。
「謝罪は明日にして、今日はもう僕達も眠りましょう」
橋田くんも眠そうに欠伸をしつつ、もう一組布団を出す。
「貴史さんをこっちに寝かせてください。僕、もう一組布団を貰って来ます」
どうやら三組しか布団は無かったらしい。一組駄目にしてしまった。
橋田くんは駄目にしてしまった組を持って部屋の外に出て行く。
俺は言われた通りに貴史を寝かせ、橋田くんの布団が敷ける様にと邪魔なテーブル等を退かす。
「ああ、テーブル退かしてくれたんですね。有難うございます」
戻ってきた橋田くんは俺にお礼を言って、自分の布団を敷いた。
あの布団は何て言って渡したのだろう。こんな夜中に申し訳ない事をした。
橋田くんにも恥ずかしい思いをさせてしまい、申し訳ない。
窓側に、貴史を寝かせ、その隣が俺、廊下側に橋田くんと川になる形になった。
「おやすみなさい〜」
「おやすみ」
橋田くんも疲れていたのだろう。直ぐに眠りについた様だ。
俺も目を瞑る。
さっきまで寝ていたが、直ぐに睡魔が戻って来て俺も寝る事が出来た。
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