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第22話
何だか温かいなと、思いながら目を醒す。
どうやら貴史は寒かったのか此方の布団に入って来てしまったらしい。
俺に抱きつきながら寝ている。
可愛い。思わず頭を撫でた。
「おはようございます幸久さん」
後ろから声がし、振り向くと橋田くんはもう起きていた様で、既に支度を済ませていた。
「朝食はブッフェか部屋で取るか選べるそうですが、何方が良いですか?」
「そうだな…… 部屋で取るか」
貴史がまだ寝ているし、ゆっくり取れた方が良いだろう。
「承りました。洗濯して下さった服も届きましたので、貴史さんが起きたら着替えて下さいね」
「解った」
「それから、くれぐれも処女アナルだとか、セックスしようだとか誘うのは止めて下さいよ。貴史さんそう言うの馴れてませんし、下手するとドン引きされます。気を付けて下さい。僕とかセックスだけを目的として誘うのならそれで良いですけど、貴史さんとはセックスしたいだけじゃないですよね?」
「う、うん」
「でしたらちゃんと順所を踏むのがマナーですよ」
「解った。気をつける……」
橋田くんは貴史を起こさない様に、小声で注意してくれる。
確かに貴史はそう言うのでは無いし、俺の大事な秘書であり、大事な幼馴染だ。
本当に、俺の性癖に巻き込まない様に気をつけようと思っていたのに、一回したら箍が外れてしまった。
昨夜は本当に怖い思いをさせてしまった。
「それでは僕はお先に帰らせて頂きますね」
橋田くんは立ち上がると俺に頭を下げる。
「え、帰るのか?」
「僕は自分の車が有りますし、貴史さんも車で入らしたでしょう?」
「ああ」
確かにそうだった。橋田くんが皆を迎えに走ってくれたんだった。
「君にも迷惑をかけてしまったな」
申し訳ない。
「お気になさらず。では、二人で仲良く話し合って下さい」
ニコリと微笑むと、橋田くんはソッと部屋を出て行った。
「ん……」
橋田くんが出て行った直ぐ後で貴史が目を覚ました。
「おはよう」
目を開けた貴史と目が合う。
「……おはようございます」
貴史はまだ寝ぼけている様子で、此方を見つめてボーっとしている。
寝起きの彼を見る事なんて早々ないので、観察しまう。
乱れてしまった浴衣は片方の袖が落ちてしまい、玉の様な肌を晒してしまっている。全く目の毒だ。
「あ、わっ!」
ハッとし、貴史は俺から距離を取ると落ちた浴衣を羽織直す。
「すみません」
だらし無い姿を晒してしまい恥ずかしいのか頬を染めて謝る貴史。
寧ろ此方こそ不躾に視姦してしまった様で申し訳ない。
「あれ? 裕太さんは?」
キョロキョロして辺りを見渡す貴史。
「裕太さん?」
誰だ其奴! 急に知らない名前を出さないで欲しい。
「あ、橋田さんです」
「橋田くんなら一足先に帰ったぞ」
橋田くん、裕太と言う名前だったのか。そんな事よりいつの間に名前で呼び合う関係になったんだ。
何だかムカムカしてしまう。
「失礼します」
ソッと扉が開く。
丁度、中居さんが朝食を持って来てくれた様だ。
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