26 / 34
第26話
「貴史、ごめんて。怒ってる?」
「社長の嘘つき、今日は抱かないと言ったのに」
ムスッとした様子の貴史はプンプンしている。気づけば夕食も食べずにセックスし、もう夜である。
貴史が怒るのも解る。
正確には抱いてないもん。襲い受けだったもん。
と、言う屁理屈を言うのはやめておく。
「ごめんな?」
起き上がれない様子の貴史を抱き上げてお風呂場まで運び、シャワーを浴びさせてあげた。
本当に疲れた様子でぐったりとし、俺に体を預けて貴史はウトウトしている。
「夕食どうする? 何か食べるか? それとももう寝る?」
「もう寝ます。何か食べたかったら冷蔵庫開けて勝手に食べて下さい」
貴史はそれだけ言うと目を瞑ってしまう。
俺は貴史の体を綺麗にし、体を拭いてベッドに運んだ
俺も別に腹は空いていなかったので、そのまま一緒に寝る事にした。
「社長、起きて下さい。朝ですよ!」
「んん〜」
揺さぶられて目を醒す。もう朝か。
「おはようはキスで起こして欲しいな〜」
「何を寝惚けた事を言ってるんです。早く支度をして下さい」
昨夜はあんなに可愛かったのに。貴史はツレナイ。
「ほら、ちゃんと起きて下さいよ」
貴史は俺にYシャツを着せ、ボタンを止めると手慣れた早さでネクタイを絞めてくれる。
「うん、起きる」
俺もやっと頭が確りして来たので、起きるとズボンを履いた。
「顔を洗って歯磨きして来て下さいね」
貴史はそう言うと部屋を出てしまう。
彼はちゃんと起きて、もうピシッと支度を済ませた後である。
昨日のは夢だったのだろうか。
ちょっと不安になって来た。
貴史に言われた通りに顔洗いと歯磨きをしてリビングに向かう、テーブルには朝ご飯が並んでおり、貴史はドライヤーを持ってスタンバイしている。
今日の朝ご飯は味噌汁とご飯、鮭だった
「今日はの予定は――」
もう仕事モードらしく、今日の予定を説明してくれる。今日も忙しそうだ。
ともだちにシェアしよう!