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第28話 秘書に相談される社員

 昨日の今日で貴史さんから連絡が来た事に、流石の僕も驚いた。メールには『相談したい事があります』とだけ書かれてたが何が有ったのだろう。個別に僕に相談したい事なんて幸久さん関連以外無さそうだ。  取り敢えず僕の家の住所を送ったが……  幸久さんはちゃんと貴史さんに愛の告白をしただろうか。  『社長から愛の告白を受けた。自分も好きだけど、自分は彼の秘書であり、男だ。許されない恋なのでは無いだろかと、返事も出来なかったんだ。私は身を引くべきなんでしょうけど、でも……』  みたいな話だろうか。貴史さん真面目だもんな。有り得る。  幸久さんも『君は何も考えなくて良い。ただ俺だけを愛してくれ』とか言って抱きしめれば良いのに。わりとヘタレなんだもんな。何て告白したんだろう。  それこそ月が綺麗みたいなまどろっこしい事を言ってなきゃ良いが、貴史さんは普段察しは良いけど、そっちに関してはわざとじゃないかってぐらい疎そうだもんな。  やっぱり僕が仲人をしたら良かったかな。  でも無粋だよね……  僕は部屋の片付けをしながら貴史さんが来るのを待った。  ピンポーン  待ち合わせの時間を少し過ぎた頃、部屋の呼び鈴が鳴る。 「はーい」  覗き穴から確かめると貴史さんである。少し挙動不審に辺りを見回していた。まるで人目を気にしてるかの様だ。  まぁ、社長秘書が別の一般社員の部屋に遊びに来ると言うのも人目を気にするものか。  僕がは部屋のドアを開けた。 「少し、遅くなってしまいました」 「いえ、大丈夫ですよ」   申し訳無さそうに謝る貴史さん。遅れたと言っても10分やそこらだ。気にする時間でもない。  僕は貴史さんを部屋に招き入れるとソファーに座らせる。 「ココアで良いですか?」 「随分可愛らしい飲み物ですね」  ココアを入れてテーブルに置き、クッキーなんかも出す。 「疲れた時は甘い物が一番でしょ?」 「確かにそうですね」  ココアを飲んでホッと一息ついた様子の貴史さん。 「所で僕に相談と言うのは?」  早速だが切り出してみる。 「あの、私も社長のセフレにして頂いたんですけど……」 「ん?」  セフレ?? 「社長は裕太の事も抱いたりします?」 「え? いや、僕は根っからのタチですから……」 「タチ?」 「挿れる方です」 「タチじゃない方は抱くんでしょうか? 私はその挿れたいと言われるんですが、見るからに挿れる側の人と言う感じがするのでしょうか? それともタチには不相応だけど、挿れるならマシかなって事なんでしょうか??」  恥ずかしげ言う貴史さん。 「えっ? えっ? ちょっと待って下さい。幸久さんからは何とも誘われたんですか?」  これは雲行きが怪しいぞ。 「誘われた訳ではないのです。私が練習しますと言ったら幸久がしてくれるって言うのでしてもらったんです」 「え? え?」  待って、全然話が解らない。  何でそんな話に?? 「私は使った事が無くて解らないのですが、やはり練習が必要なんですよね? 社長にさせるのは忍びないので、自分で調べるか、その、裕太に手伝って貰おうかと思ったんです。でも社長は駄目だって言って、それで、してもらったんです」   まさか僕にして貰おうと思ったなんて。貴史さん可愛すぎるけど、話が飛んでも無い方向に飛び散らかってしまっている。わけがわからない。  それで 「何処までしてもらったんですか?」  その質問をする場所では無いと思ったが、好奇心に負けた。 「指と、アナルプラグと言うものを…… 私、もしかしたら挿れる側も下手くそですけど、挿れられる側も駄目かもしれません。凄い解らなくなっちゃう程連続でイカされてしまって、アナルプラグ怖いです。耐え性が無いのでしょうか、幸久にも卑猥でだらしないおちんぽと揶揄されてしまいました。おちんぽはどうしたら鍛えられるのでしょうか?」  顔を真っ赤にした貴史さんは目をうるませている。今にも泣き出してしまいそうだ。 「大丈夫ですから、落ち着いて貴史さん」  幸久さんたら貴史さんに『おちんぽ』なんて卑猥なセリフを教えて〜〜  全く肝心な話はしてないじゃない。  僕と約束してくれたのは何だったんだ!  こんなに貴史さんを不安にさせて。流石の僕と怒るぞ。 「あの、それでお願いがあるんです」 「え? 何ですか??」  お願い?  「幸久と二人っきりでするのが怖くて、だからそう言う事をする時は3人が良いんです。私では満足させられませんが、裕太はおちんぽ長いし、テクも有るし、幸久を満足させてあげられますよね? 私は抱くにしても抱かれるにしても直ぐに分けがわからなくなってしまって幸久を良くしてあげられません。幸久と裕太はセフレなんですよね? 私と幸久もセフレです。と、言う事は私と裕太もセフレですよね?」 「あ、え? はい、え??」  どうしてそんな話になるのかよく解らないが、必死な貴史さんに押されて頷く。  3Pを申し込まれている。僕は大歓迎だけど。 「セフレなんて、私初めてで解らない事だらけなんです。用語とか、マナー違反とか教えて下さいね?」  「はい、勿論、それは教えますけど……」  貴史さん健気すぎる。  幸久さんも貴史さんをセフレにしようとしている訳では無いと思うのだが。  だからあれ程話し合えと言ったのに。幸久さんめ!! 「良かった」  貴史さんは何だかホッとした様子である。こっちは話が全く飲み込めず、汗がダラダラであると言うのに。 「私、セフレもですけど普通の友達とかも居た事が無くて、此れから仲良くしてくださいね。私の事も呼び捨てで構いませんから」  ニコッと微笑む貴史。 「有難うございます?」  展開が早すぎるだろ。一昨日はそんな関係じゃないと言っていたのに、いつの間にか呼び捨てだし、僕にも呼び捨てだなんて。ガードめっちゃ頑丈なのにとっぱらうのは一瞬か。  ピンポーンピンポーン  急に来客を知らせる呼び鈴が鳴る。 「誰だろう」  今日は他に来客の予定は無いのだが、宅配かな? 「……多分、幸久です」 「幸久さん?」  何で?  覗き穴から確かめる。確かに幸久さんだ。 「なんかめちゃくちゃ不機嫌そうですよ」 「うん、逃げて来ちゃったからですね」  逃げて来ちゃった!?  幸久さんを巻いて来たと言う事だろうか??

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