30 / 34

第30話

「ひとまず落ち着いて話し合ってみましょう」  橋田くんがそう言って、俺たちに腰を下ろさせる。入れ直されたココアが置かれた。  俺も貴史も促されるまま一端落ち着いて腰を下ろした。 「では話をまとめますね」  そう言う橋田くんに二人で頷く。 「幸久さんは貴史さんが好きで、貴史さんも幸久さんが好き。僕は幸久さんと貴史さんのカプ推しです。おお! 凄い、丸く収まりました! 皆幸せです」  パチパチと手を叩く橋田くん。  そうか、丸く収まったのかぁと俺も頷く。  だが貴史は腑に落ちない顔をしていた。 「社長は私が好きと言いますが、裕太とのセフレ関係はどうなるんですか? それに私は社長をそう言う風に好きかどうかまだ良く解っておりませんし、裕太の言うカプって何ですか? 裕太は私と友達で良いですか?」  質問が沢山出て来た。 「そうだな。セフレは誠実さにかけるだろう。貴史と付き合うならそういう事は貴史としかしない。男遊びは止める」 「僕の言うカプと言うのはまぁ、聞き流して貰いまして、普通の男友達として遊んで頂けたら嬉しいですよ」  俺と橋田くんで回答する。 「俺も男友達としてなら橋田くんと遊ぶのを許すぞ。3人で遊ぼう」 「ええ、そうですね。3人で遊びましょう」  そう橋田くんと手を繋ぐ。  よく考えたら俺も男友達が出来るの初めてな気がする。貴史は男友達とは違う気がするもんな。 「そうですか。えっと…… 私はまだ良く解りませんが社長の事を嫌いと言う訳では無いのでお付き合いさせて頂きたいと思います。宜しくお願いします」  貴史は深々と俺に頭を下げた。 「此方こそ宜しくお願いします」  そう、俺も頭を下げる。 「良かった。やっと恋人同士になってくれましたね。当馬になった甲斐がありましたよ」  ホッとした様子で笑顔を見せる橋田くん。 「当馬をしてくれたのか!」  あれは演技だったのか。迫真であった。  何もかも橋田くんのお陰である。   橋田くんは僕たちのキューピットだな。 「有難う! 君は親友だ!!」  そう抱きしめる。 「ずるい! 裕太は私とも親友です!」  何故か張り合って来た貴史も橋田くんを抱きしめた。 「えへへ、二人共親友です」  そう、橋田くんは笑顔を見せてくれるのだった。  橋田くんにお礼を言うと、貴史の運転で貴史の家に帰る。  アナルプラグを入れるのは一先ず止めてあげる事にした。 「俺達、付き合うんだし、一緒に住もうか」  ソファーに座ってそう声をかけた。  貴史は夕食の支度をしてくれている。 「そうですね。同棲は三ヶ月続いたら考えます」  貴史は堅実だ。  まだ信用されて無いのかも知れない。  今まで三ヶ月続いた試しが無かった。 「そうだな。三ヶ月な」  今日からカレンダーに丸を付けよう。一ヶ月事にお祝いするんだ。 「今日も前立腺で気持ちよくなる練習するだろ?」  料理をする貴史を後から抱きしめる。  貴史は恥しそうに頷いた。 「危ないので座って待ってて下さい」  そう注意されて、ソファーに戻る。  貴史と両想いになれて、俺は有頂天であった。  橋田くんには本当に感謝してもしきれないな。

ともだちにシェアしよう!