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第31話 社長のプロポーズ
俺と貴史のアナル開発は順調に進んでいた。
連続イキしたり、敏感になってしまう貴史は俺でのお尻で抱くのも良く成りすぎて怖いと言うので、無理はさせず、反応した陰茎は手で扱いてあげたり、フェラで優し達させてあげた。あまりイかせすぎない様に気をつけたし、一回達したらアナルプラグを抜いて落ち着かせてあげた。
イッたばかりの貴史は俺に抱きついて呼吸を整える。俺の鼓動を聞くと安心するのかも知れない。そんな貴史が、俺は可愛くて仕方無かった。
少しずつプラグを大きいものにし、ニ週間かけて大事に育てれば、貴史もだいぶアナルに慣れ、大きいモノを咥えられる様になった。
これなら金曜日には俺を挿れてあげられそうだ。
俺も早く貴史と一つになりたかった。性欲だってよくこんなに我慢出来たものである。
自分ばかり気持ちよくなる事を考えていた。相手を考えた事なんて無かった。
相手を気持ちよくさせてあげたくて、こんなに頑張れたのは貴史だからだ。
貴史を大事にしたい。
「貴史、可愛い俺の貴史。愛してる」
そうキスをする。
「私も、幸久さんが好きです」
そう照れた様な笑顔を見せてくれる。
幸せを噛み締めていた。
そして念願の金曜日。
俺は貴史な為に夜景の見えるホテルのスイーツトルームをおさえた。
ルームサービスして貰った料理がテーブルに並び、シャンパンで乾杯する。
「こんな素敵な部屋を私の為に取って頂いて、何だか申し訳ないです」
そう、貴史は緊張した顔をしている。
「いつもの感謝と、此れからもよろしくと言う俺の気持ちなんだ。気にしないで欲しい」
ただの俺の自己満足なのである。
だが変に気取ったせいで、貴史は余計な緊張をさせてしまったかも知れない。
逆に申し訳ない。
「有難うございました。頂きます」
貴史は礼儀正しく手を合わせ、サラダから食べ始めた。なんか小動物みたいで可愛い。ずっと見てられる。
「私を見てないで、幸久さんも食べて下さいよ」
貴史は俺の視線に気付き、恥しそうに視線を反らした。
無意識だった俺は慌てて視線を外し、貴史が取り分けてくれたサラダを受け取る。
食事も進み、メインディッシュが届いた頃、俺は胸をドキドキさせながらも、ポケットから指輪を取り出した。
「貴史、君を幸せにしたい。受け取ってくれるか?」
そう、頑張って言葉をつむぎ、貴史を見つめ、答えを待つ。
貴史はポカーンとした顔で、差し出された指輪を見つめていた。
「あ、あの…… でも、私、男ですので、幸久さんとは結婚出来ません。この様なものは頂けません」
そう顔反らしてしまう。
「例え結婚できなくても、俺は君を生涯の伴侶にしたいと思っている」
俺は、貴史と意外なんて考えられない。
「貴方が結婚しても、私は生涯を貴方に捧げ、貴方を支える積もりです」
「……どういう意味だ?」
「幸久さんには女性と結婚して子供を生んで普通の幸せを……」
「俺はそんなものは望んでいない!」
指輪を受け取ってくれない貴史、俺はそんな話をしたかった訳では無いのだ。
普通の幸せって何だよ!
「会社はどうするのです! 跡取りは幸久さんしか居ないんです。幸久さんは跡取り産む義務が有るんです」
「どうとでも出来る。養子を貰っても構わない。優秀な社員を社長に育てる事も考える」
別にどうしても自分の子供に会社を譲らなければいけない訳でも無いし、家族が煩く言ってきても俺は聞く耳を持ったりしない。
「私はやはり受け取る事は出来ません」
貴史は頑なに受け取ってくれない。
仕方ないな。
「解った」
今日は一先ず引こう。これ以上迫ると貴史はより頑なになってしまう。
俺は、指輪をポケットに仕舞い仕切り直す事にした。
今日は諦めるが、また明日プロポーズして渡す。受け取って貰うまで続けよう。そう決めて。
食事を終え、片付けをして貰った。
貴史と俺はソファーに腰掛け、ワインを片手に折角だから夜景を眺めながら、世間話でもしていた。
「隣の部屋の人が猫を飼ってるんです」
「え? ネコを飼ってる!?」
「ええ、その猫が私の部屋にたまに遊びに来る様になりましてね」
「ネコ同士分かり会える事も有るんだろう」
「何か、話が噛み合わない気がします」
「ごめん、冗談だよ。猫が遊びに来るんだな」
「ええ、ベランダかやってきて窓をカリカリしてるから開けてあげるんです」
「オスか? メス?」
「さぁ? 三毛猫なのでメスじゃないですかね?」
「へー」
「最近の私の癒やしだったんです」
猫を思い出すのか、貴史は微笑む。
「俺と居るのに外のネコの話しするなよ〜」
と、言うか最近俺は殆ど貴史の家に居るが、猫なんて来たことないぞ。
「幸久さんが居ると恥ずかしいのか来てくれないんですけど、幸久さんが来てくれるので嬉しいです。と、言いたかったんです」
エヘッと笑う貴史。
俺の癒やしは貴史だ。
「さて、そろそろベッドに行こうか」
貴史は既にほろ酔い状態である。俺は気付かせない様に殆どノンアルで誤魔化していた。だって直ぐに酔ってしまうのだ。それで何度も失敗している。流石の俺も学習したのだ。
「うわっ!」
貴史を抱き上げ、大きくフカフカのベッドまで運ぶ。
「待って下さい幸久さん!」
「なんだ?」
ベッドに下ろすと慌てた様子で貴史は起き上がってしまった。
まだ夜景を見ていたかっただろうか。
「私、その…… やり方が分からないのでどうしたら……」
貴史は恥しそうに頬を染める。
「ああ、今日はやめておこう。いつ寝ても良いようにベッドに移動しただけだ」
俺はそう苦笑してみせる。ここに来たときは確かにヤル気満々で下心たっぷりにホテルの予約を取った。貴史との初めての夜を素晴らしいものにしようと意気込んでいた。
貴史も、あれ? しないの? と、言う顔だ。
確かに今夜君を抱くよと宣言して連れてきてしまったもんな。
「ごめんな貴史、すこし急ぎ過ぎた気がする」
「私にはもう興味が無くなったと、そう言うと事ですか?」
抱き寄せ、腕枕の形を取り、髪を撫でているのに、何故そう思ったのか、貴史は寂しげな表情になる。
「君を愛しているよ。大事にしたい」
「大事にして貰いました。私の準備も出来ています。なのに抱いて下さらないと言うのですか?」
貴史は不安そうな表情を浮かべた。
ああ、君を不安にさせたい訳じゃないのに……
「俺は君の体が欲しい訳じゃない。君と心が通じていないなら体を繋げても虚しいだけだ」
そう俺の気持ちを伝える。
「幸久さんは今まで沢山のセフレが居ましたが、その方全てと心が通じ合っていたのですか?」
「セフレはセフレだ。君は俺の恋人だろ?」
他の奴らと一緒にしたくないのだ。貴史は俺の唯一の人。
「何度か既に体を重ねていますのに……」
彼はすこし拗ねた様な、不満そうな表情になる。
それは俺も反省しているのだ。取り返しの付かない過ちであった。時を戻せる事ならば戻してやり直したい程である。
「君が俺を抱くのは良いが、俺は君の初めてを大事にしたいんだ」
今までの事も含め、やり直したい。これは俺の、我儘だが、譲れなかった。それにこんな中途半端な関係は嫌なのだ。貴史とは、ちゃんと愛し合いたい。
「……狡い」
「え?」
貴史が何か小さく呟いた様に思ったが、聞き取れず聞き返してしまう。
「いえ、では今夜はもう寝ましょう」
「ああ…… そうだな」
何かはぐらかされてしまった様だが、貴史が眠いなら寝かせてあげよう。
今日は金曜日、仕事の後で疲れていても仕方ない。
明日は土曜日であるし、ゆっくり出来る。
日曜日ほ橋田くんと3人で遊ぶ約束をしていた。
天気が良かったらピクニックに行く予定だ。
貴史が俺の胸元に顔を寄せ、目を瞑った。俺はそれを暫くし観察し、髪を撫でて楽しんだ。
今はまだこれだけで構わない。
俺は貴史を大事にしたいのだ。
朝だろうか、目が覚める感覚だがまだ眠い。休日であるし、ゆっくりしても良いだろう。
温もりを求め、隣に手を這わせ貴史を探す。
なかなか見つけられない。
「ん?」
まさか転がり落ちたのだろうか。
ハッとして飛び起きる。布団を捲って確かめてるが隣はもぬけの殻、温もりもない。
ベッドの下を見ても落ちた形跡は無かった。
「貴史〜貴史〜? 何処だ?」
部屋を歩き回り、全ての扉を開けて確かめる。何処にも居ない。
携帯を確認した。
『急用が出来ましたのでお先に失礼します』
えええ!!??
残された貴史からのメッセージに困惑してしまう。
急用とは何だ。貴史に入った急用を俺が知らないとなると仕事関係では無い。私用か?
家族に何か有ったとか?
いや、家族ぐるみで付き合ってるのだからご家族に何か有ったなら俺を起こすだろうし、親父から何かしら連絡が来そうだ。
そうなると、何だ?
全く判らん。
一番に考えられる事は、俺が何か怒らせる様な事をしでかし、機嫌を損ねてしまったと言う事である。
何でだ!?
昨夜の俺は間違いなく紳士であった。
神に誓っても、俺は何もしてないぞ。
寝ている貴史にだって指一本触れてはいない。
なのに何故だ。何が悪かったと言うのだ!!
俺は頭を抱えつつ、貴史の居場所をGPSで確認するのだった。
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