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第69話

 肌を撫でる瀬戸の手も、唇も、犬飼のすべてを欲して足りないというかのように、飽くことなく犬飼の快感を引き出していく。瀬戸が強く穿つたびに、肉と肉のぶつかる乾いた音が響く。 「あぁっ! 瀬戸、もう……、あ……っ!」   身体が熱く、息が苦しい。もう達きたくて、自分のそれに伸ばした手を、瀬戸の手によって封じられてしまう。 「あっ!」 「つかまっててください」  瀬戸は犬飼の腕を自分の首にまわすと、そのままひょいと犬飼の身体を引っ張り上げた。自然、犬飼は足を大きく広げたまま瀬戸の膝の上に乗り、彼と向き合う格好になる。急に瀬戸との顔の距離が近くなり、しかも眼鏡をしてない彼はいつもと別人のように見えて、犬飼は急に恥ずかしくなった。 「これならあんたの顔がよく見える」  にっこりと笑みを浮かべた瀬戸の瞳は鋭い光を宿し、まるで犬飼のすべてを食べ尽くすような獰猛な気配を宿している。 「あぁっ!」  突然下から突き上げられて、犬飼は大きく喘いだ。自分の体重が重りになり、身体の奥深くまで突き上げられる。瀬戸が犬飼の胸の頂を口に含み、犬飼は悲鳴を呑み込んだ。 「瀬戸、や……ッ! ……んんっ!」  この快楽には果てがない。自分がどこへ持っていかれるのかわからず、漠然とした恐怖を感じた。でも気持ちがいい。怖い……。  しっとりと汗ばんだ男の身体も、まるで思いを伝えるかのように、ひたりとこちらを見つめる切なさを含んだ瞳も、すべてがいとおしくてたまらない。  激しく揺さぶられ、声が枯れるほど喘がされる。落ちないよう、犬飼は必死に瀬戸の身体にしがみついた。犬飼の内部が激しく収縮し、瀬戸のペニスをしめつけてしまう。 「あっ、瀬戸……っ!」 「あんたが好きだ」  やがて瀬戸のそれが犬飼の内部で達したとき、すでに出すものも尽きた犬飼のペニスはちょろちょろと透明な液体を零し、犬飼は気を失うように瀬戸の身体に崩れ落ちた。

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