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第8話
「おまえ、なんで勃たせてるんだよ!」
「え……?」
栃木は、手を布団につっこみ、
「なんででしょうねぇ。若いから?」
と、とぼけた。
「おまえな……」
年のことを言われて、俺はムッとした。栃木とは一回りほど年の差があるのだ。
「ところで先輩、なんで裸なんですか?」
栃木が聞いてきた。
「俺が聞きたいよ。おまえ、覚えてるか?」
「課内の打ち上げとかありましたっけ?」
栃木は大してあわてていない様子だ。
「おまえは、こういうこと、よくあるのか?」
俺は慎重にたずねた。
「うーん……そうですね。よくは、ありませんね」
よくは?
「たまには、あるのか?」
「どうですかね」
いやにぼやかす。いけすかない。
まるで、こうしたランデブーが、頻発しているとでも言いたげじゃないか!
「妬いてます?」
栃木が笑みを浮かべ横目で俺を見た。こいつ……!
返すことばを探していたとき、栃木が突然、布団をはぐった。
「あ、茨城さんも、勃ってる!」
俺は、あわてて前を隠した。
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