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(ぁ……今日は違う人が部屋に来てる) 水の月が終わり、遂に星の月になってしまって。 あれから、机に向かう時間帯は外に出されるようになった。 ご飯や寝る時に部屋へ帰っても、ヴァンは目を合わせてくれない。 ロルドさんも、ヴァンのコントロールで手一杯のようだった。 もくすぐ成人の儀だし、緊張してるよね。 僕のことも合わさってストレスが溜まりに溜まってるんだと思う。 それを…本来なら僕がリラックスさせてあげないといけないのに…… (今日の人は、仕立て屋さんっ?) 昨日は小さな手帳を持った人だった。 多分当日の打ち合わせとかを担当する人。 今日は当日の服を仕立てる人らしく、立ち上がったヴァンの寸法を測っていた。 その様子を、窓にビタッ!と張り付いて見守る。 カーテンまではヴァンもロルドさんもしなかった。 だから毎日毎日…最近はひたすら窓に張り付いてて。 (僕は、どうすればヴァンを救えるんだろう……っ) 準備をしているのを眺める度、どんどん心に焦りが生まれてくる。 気づいてもらうことは……もう諦めた。 それなら、僕は一体どうすればーー 「キュ、」 (ぁ、) 窓から見た先。 仕立て屋さんが、スケッチブックにシャッと〝ある物〟を追加した。 (あれなら……僕でも!!) 大人の竜は違うのかもしれないけど、たった1回夢で見た服の細かいデザインなんて……正直僕はまだ覚えれない。 だから、どうかあの人の頭の中でそれが却下されることなく使われますようにと願いながら、ひたすらに走る鉛筆を見つめた。

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