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第3話 お世話になります:同居人M
以前いた、別のシェアハウスから、抜けてきました。
こちらのシェアハウスでお世話になります、Mといいます。よろしく。
いまの管理人さんには、
セックスして知り合った。
ぶっちゃけ言うと、オレはゲイだ。
ここの読者さんはあまり知らないだろうけど、ゲイ同士でセックスする場所があって、そこでセックスしたのが初めだった。
そこで連絡先を交換し、2度目に会ったときに食事に誘われた。
それで、いろいろ話し合った。そこでの、シェアハウスをやっているという言葉を聞いたときに、俺の中でなにかが動いたんだろうな。
3度目に会ったときに、そこに住んでみたいと言ってみた。
「じゃ、ウチ来る?」
即答だった。
実は、いま務めている仕事が、どうもよくなくて、住む環境も芳しくなくて、もやもやしていたのは事実だった。
しかしこの管理人さんの言葉を聞いたときに、正直言うと、困ったという感情が出てきた。
今の仕事どうしよう?引っ越しってどうすれば?ずいぶん遠くに移動するようだけど?
「えっとね、今すぐって訳にはいかないからね。2ヶ月くらいかかると思って。」
あ…、まぁ、そうだよな。そりゃあそんな簡単に住めるようなもんじゃないからなあ。
だけどその次の日から、その人から頻繁に連絡が入るようになった。
「荷物はどれくらいある?」
「詳しい住所教えて」
「シェアハウスの間取りはこれで」
「不動産に言わなきゃならないから、本名と生年月日とそれから」
「荷物取りに行ける日時はどうしようか、そちらの都合は」
2か月とか余裕を言われたけど、ずいぶん慌ただしく思えた。
「仕事は続けるの?辞めるなら1か月以上前から会社に言っておかなくちゃならないよ」
あ、そうか、これは明日話してみよう。
荷物を運ぶ日に、管理人さんは車で俺の荷物を持ってってくれることになった。
さすがに1回では運びきらないので、今回と、あと2回くらいかな。
単身で荷物は多くないと思っていたけど、まとめてみるとこんなに多くのモノがあったんだなあって感じた。
「日本人は物持ちが多いからね。1人あたり千個のモノを持ってるんだってさ。」
もう一人の同居人さんも一緒に来てくれていて、一緒に運んでいく。車の中がだいたいいいだけ積んだところで、オレも一緒に乗り込む。あぁ、まだ引っ越しはしないけどね。運んだらまた帰ってくるけど。だから今日の作業は車で1回運ぶだけだけど、これだけで1日がかりだ。
「そしたら、どっかで食事でもしようか?」
と、かるく近くのお店に入った。
実は、このシェアハウスに住みたいと言ったきっかけは、管理人さんの心配りでもあった。
俺は今までも、親からでさえ、自分のやることに好意を持ってくれることがあまりなかったから。だから…ここだったら…自由に生きることが出来そうだと感じたから、なのかもしれない。
さて、1時間半くらい走って、シェアハウスに着いた。
「そうしたら、Wi-Fiのパスワードがこれだから、ちょっとやってみて。」
荷物を入れる前に、一番にWi-Fi設定?それって、いいのか…管理人さんもぶっ飛んでるな…と思った。
間取りは3部屋あるけど、そのうちのひと部屋が
「こっちがパソコン部屋ね。マック持ってるんだよね。そしたらこっちがいいね。LANケーブルもあるから。」
俺が3人目なのに、パソコンが既に5台ある。プリンタも、机も。
「ここはね、在宅ワークが出来ることを想定してるんだ。まだ仕事はないけど、そのうち、すぐ対応できるように考えてるんだ。その代わり、個室はないけど。」
いい、いい。充分だよこれ。
こういうのでいいんだよ俺は。
ぱっとiPhone見たら、なにやらダウンロードしてるみたいだったので、しばらく置いておこうと思い、
持ってきた荷物を、もう一つの部屋(寝室になってる)に運びつつ、レイアウトをちょっと変えつつ、次の日取りを考えていた。
ダウンロードは終わってたみたいだったので、今の住んでるところも、本格的に退去の手続きしなきゃだな…と考えていた。
そう思いつつ、今まで感じていたこととは別の種類の悩みが、次々出てきた。
一番は、お金はどうしよう?だったけど。借金ももってるし。
でも、普段の生活で、俺が気を付けることが。今まで言うことも無かったけど、ここは話さなくちゃならないだろうなあ。
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