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第11話 仕事が替わる:同居人R
仕事場が、キツイな…
自分の作業が遅いから、そうなんだけど、
それを口に出して指摘して、「いや、大丈夫なんだけどね」と続けられる…
あんまり喋りたくないから、ハイ、ハイくらいしか言ってなかったかもだけど、
「もっとなんか質問してきていいんだよ」だって…
だんだんうっとおしさが込み上げてきて、顔も見られなくなってきて、
ふっと目を逸らしたときに「なんかさ、言いたいことあるの?」…
めんどくさいオバサンだな…
* * *
「えっと、仕事って今月までだっけ?」
管理人さんの送迎の車の中、僕は助手席で。
「そうしたら、まだ支払いとか残ってるんだろ?大丈夫かい?」
実は、次の給料で、僕の分は半分くらいが終わるところだ。カードの支払いがまだ少し残ってるけど。
「あ、そうなんだ。いつの間に。けっこうヤッてたんだねえ。」
管理人さんって、仕事のことって、あんまり突っ込んで聞くようなことが無い。
聞かれることはあるよ。スケジュール関係のことは特に。僕からも、必要なことは話すけど。
「じゃあ、しばらくはゆっくりできそうだね。」
たまに、僕の心まで読まれてるんじゃないかって、思うこともあるけど。
第5話のころから、管理人さんと一緒の現場で働いてたんだけど、ちょっと、一身上の都合で、辞めることにした。
前に、帰りの時に会社から出たときに、その話をした。そっかと言って、僕の頭をポンポンと、そしてその手で頭を撫でた。「頑張ったな」って一言、言ってくれた。
身体全体が、キュンってなった気がした。
* * *
「職安って行ったことある?仕事探すところ。たまに行ってみると、面白いもんだよ。」
管理人さんの言う職安、正式名は公共職業安定所は、いまのハローワークのことだな。
あれでしょ、給付金がもらえるとか、職業学校があったりとか。
会社の求人は、いつも登録している派遣会社で探してるから、そっちまでは行ったことが無い。だって土日休みで役所仕事だもんな。
「今は、仕事探すのはネットで出来るようになってるからね。それに給付金も、オレは前に百万円貰ったこともあるよ。」
え、ウソ?そんなにもらえるものなの?
「オレはウラ技を使ったからなあ。条件がちゃんと当てはまれば、それだけ貰えるんだよ。まあ、普通の人はせいぜい20万くらいだろうけど。」
後日、管理人さんの過去の資料を見せてもらったけど、ちゃんと116万円って書いてるんだ。そういうこともあるんだ??
「そうそう上手くはいかないけど、その時はたまたま偶然が重なってなあ。」
さすがはお役所通の管理人さんw。役所をうまく使ってる感じがする。
* * *
え?Mさんも辞めるの?
「まぁ、…ね。この時期は閑散期だっていうから、週4から3のシフトにされるんだ。ちょっとそれだと、収入が減っちゃうからね。」
Mさんは、別の会社で働いてたけど、うーん、そっかぁ。そしたらまた管理人さんの給料でみんな過ごすことになるんだね。
「オレも支払いがあるから、早めに次を見つけないとさあ。だけどシフトの希望がちょうどいいところって無いんだよなあ。」
大丈夫かなあ?ちゃんと過ごせるかなあ?
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