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第12話 ケンカ、勃発:管理者
シェアハウスをやっていれば、まあ、想定内のひとつ。
いざこざや小競り合いや不正協定などはあるだろう…とは考えている。
自分は、大抵のことは許してるので、そもそも問題は「起こらせない」やり方でやっているから。
だから同居人たちも、お互いに「まぁ…、仕方ないな」で済ませるように、仕向けていたw。
* * *
「ただいま~」
今日もちょっと遅くなっちゃったなぁ。
こそっと帰ってきたつもりだったんだけど、部屋の明かりがあちこちでついている。
みんなまだ起きてるんだなぁと思って今に入ったところで、Cくんが顔を出した。
「あ…あの、ちょっといいですか」
と、奥を指さして、
「なんか言ってやってほしいんですよ。オレもいい迷惑なんで。」
ん?なんだなんだ?と思って、奥を覗いてみたら、…なるほどね(^_^;)。
Mくんが素っ裸で動画見ながら声を出してオナニーしてる。
「ちょっと見るに堪えないというか…、そこまで堂々とされても困るんですよねえ。」
「あぁぁ…、ま、そうだね。これはなんかしなきゃ。わかった、ありがとうね、ゴメンね。」
僕にとっちゃ、これくらいの事だったら、平気で流すくらいなんだけど、
まぁ、Cくんも若いし性欲なくて淡白だから、こういうのは異質に思えるんだろうな。
まあこれは、せっかくのところを邪魔しちゃ良くないから、終わったところで言っとくか。
* * *
「ただいま~」
また別の日。
「あ、こんばんは。」
おぉ。これはこれは。
Cくんの彼女さんかあ。たまーに連れ込んできている、本物の女性の方。
僕は、これも受け入れてる。いいよーおいでーって、軽く言ってる。
って、僕はホントに、受け入れる幅が広いよな。
「あのー、ちょっといいですか?あの彼女さん…」
ん?今度はMくんの方から申し出が。
「あの彼女さん、ここに来てるけど、家のお手伝いもしないし、たまにCくんとケンカしてるし…。なんとかならないですかね?」
あ、あー…。そうだなあ。これも僕もちょっと気になってたんだよねえ。
Cくんと彼女さんのケンカは、僕も何度か見てるし。
この相談の後ではもっとエスカレートして、モノをぶん投げてこられた日には、ちょっと危ないし、他の住民もいるんだから。よっぽど警察でも呼ぼうかと思ったよ。
「だってあの彼女さん、子供いるんでしょ?やることやってくれたっていいんじゃないのかなぁ。」
そう。以前、彼女の子供を連れてきたことがあったのだ。まだまだ小さい子で、3歳とか。僕はものの10分で懐いてくれたから良いんだけど。
うーむ、実家の方とウチの往復もいいけど、ホントのやることをやってもらわないとねえ。
* * *
そうしたら、今度は彼女さんからお誘いを貰った。
「ちょっと一緒にドライブしませんか?」って。
もちろん、デートをするわけではなかった。Cくんのことについて、だった。
もう察しているとは思いますが、この彼女さん、人妻です。
旦那さんからはあまり構ってもらえていない、しかしまだ小さいお子さんもいる。
そしてウチのCくんに出会ってしまった。
Cくんは、若くて(僕から見ても)イケメン…というか、ベビーフェイスなので、彼女さんの方が行為を抱いているのが見え見えなのだ。いや、それはいいんだけど、
「あいつ、ほんっと、ワガママなのよ~。家事も手伝わないし食事も作らないし…」
と、しばらくこのセリフが続く。
僕は、その話をずっとひと通り聞いていく。
途中でコンビニに寄って、温かいコーヒーを頼んで、ふたたび話を聞く。
僕は、どういう時もそうなんだけど、その人の言いたいことを全部言わせている。
最後まで話してくれたところで、一言二言話していく。
そうやって、解決できることだったら、いくらでもガス抜き・ストレス発散してくれたらいい、と思ってる。不満のない人なんていないからね。
んで、出来ること出来ないことを分けて、そこから対策を練っていけばいい。
僕が管理者の立場で出来ることは何か、そして同居人たちはどうするか。
それをそれぞれ実践していけばいい。
「…どう?」
「うん、わかった…。」
「じゃ、そろそろ戻ろっか?」
人間だし、みんなまだ若いんだから。僕が一番の年長だから相談相手になっているが、みんなの問題点というモノは、あんがいタカが知れたことにみえてしまう。
歳をとったということが、こういうことなんだなあ…って感じてしまうな。
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