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第4話

「ちわっす!!」 グラウンドで準備運動をしていた部員らしい人たちに、勇大は大きな声で声をかける。 「お、入学早々サッカー部に入りたいって言ってたヤツはお前か?」 「はい!黒澤勇大です!!よろしくお願いします!!」 「ハハッ、元気いいな。ウチ、サッカーはそんなに強くねぇけど今年から元日本代表だった人が監督になってやってく事になったから一緒に頑張っていこうな」 「はいっ!!」 ひとりの上級生が勇大に気さくに話しかけ、笑顔で肩を叩いてくれる。 「あ、あの、すみません、サッカー部に入部したいんですけど……」 そこに、同じ色のジャージを来たふたりの生徒が手に入部届を携えてやって来る。 (あ……) そのひとりから、勇大は目が離せなかった。 あの時見たよりは華奢には見えなかったが、肌の白さは今の方が白く見える。 自分より少しだけ低い身長に赤みがかった黄みの暗い黒茶色の髪。 間近で見てもくっきりとした大きな瞳と太めの眉。 同じ男なのに、どこかそう見えない綺麗な顔立ちは、サッカーしか興味がなかった勇大にとって、初めて心を動かされた。 それが『白い光束』という異名の持ち主、白川隆志だった。 「おっ!お前らもしかして噂の新入生だな!俺たち、お前らが戦ってる試合見に行ったんだぜ?」 「えっ、そうなんですか?そんな…恥ずかしいです…」 隆志と一緒に来た黒髪のポニーテールヘアの同級生が照れくさそうに話す。 隆志や自分より高い身長でガタイのいい身体つきをしているが、端正な顔立ちには少し不釣り合いの下がった眉とその言動は見た目に似合わずオドオドとしていた。 「ハハッ、試合中とは全然違うな、『サムライストライカー』は」 「あっ、その呼び名、いつの間にかつけられてたんです。俺、灰田唯(はいだゆい)って言います、よろしくお願いします!」 緊張した様子を見せながら、唯が部員たちに深々と頭を下げる。 「サムライ、名前は随分可愛いな!で、こっちが『白い光束』の!!」 「白川隆志です!オレも知らないうちにそう呼ばれてて…恥ずかしいです…」 隆志の白い肌が紅く染まっていく。 発せられた高めの透明感のある声に、勇大は見た目通りだと思った。 「いや、でもお前めちゃくちゃ速ぇよ!時間は限られてるんだろうけどさ」 「はい…でも、これから強くなって少しでも試合に出られるように頑張りますのでよろしくお願いします!」 隆志も部員たちに頭を下げる。 こうして、勇大の夢はまずひとつ叶った。 次の夢は隆志と一緒に試合に出る事。 初練習から自分だけが出遅れているのを感じた勇大は、帰宅してからも練習に明け暮れる日々を送るようになった。

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